Per mare per terram -アズカバンの囚人- (ページ2)

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２.吸魂鬼ページ2

ｷﾞｨｨｯ

クロウとドラコが話を弾ませていると
鉄橋の上で列車がいきなり止まってしまった―

ﾁｶｯﾁｶｯ
ﾊﾞﾝｯ

明かりが消え、コーパメントの扉が大きな音を立てて開く

ｳﾞｩｩｯ

近づいて来る黒い影にフィデスは警戒し唸り始める

『ｯ…』
クロウは急に暗くなり、背筋が凍る様な寒気に襲われ
思わず手が震えてしまう

ｷﾞｭｯ

「クロウ、僕もフィデスもいるから安心しろ」
『うん…』
震える手をドラコが握ってくれて震えも収まっていく

暫くするとその黒い影は列車から出ていき
列車はまた走り始める―

「なんだったんだ…」
『吸魂鬼だわ…アズカバンの看守の筈なのに』
あの脱獄事件のせいかしら…とクロウは言う

『フィデスも、ドラコもありがとう』
「あ、あぁ」
クロウにそう言われ、ドラコは手を急いで離す

『もうすぐローブに着替えなきゃ
ドラコ、ホームで待っててくれる？』
「分かった、待ってる」
そう言い、ドラコはコーパメントから出ていく

そして、駅へと到着―

ﾀｯ

『ドラコ！お待たせ』
クロウがホームで待つドラコの元へと駆け寄る
すると、ある2人がクロウに気付く

「「クロウ！」」
ハリーとハーマイオニーだ

『2人共久しぶりね』
「クロウに沢山話したい事があるのよ！」
興奮気味に近づいて来る2人
きっと先程の吸魂鬼のことだろう

ｷｨ

「クロウ、馬車が来た。行くぞ」
『うん！2人共また後でね』
ドラコと共に馬車へと乗り込んで行くクロウ

「クロウ行っちゃったね…」
「マルフォイあからさまに不機嫌だったわね」
「？僕らと会うといつもあぁだろ」
3人はその様子を見て口々に言う

一方、馬車では―

「…」
『ドラコどうしたの？』
黙っているドラコにクロウは不思議がる
するとまた、クロウを呼ぶ声がする

「クロウ！」
『ルーナ！』
今度は馬車に相乗りしていた生徒の中に
ルーナがいたようで喜ぶクロウ

『早く言ってくれればよかったのに』
「セストラルが引く馬車初めてで感動してたんだ」
『そっか2年生だもんね』
本当の姉妹のように仲良く話す2人

「この馬車ひとりでに動いてるわけじゃないのか？」
ドラコは見えていない為、2人の会話について行けない

「セストラルが引いてるんだよ」
『死を目撃して、その事実を受け入れた者にしか見えないの
魔法省からは不吉で危険とされてるけれど良い子なのよ』
そう言い、クロウは馬車を降りる時に
大きい生物を撫でる様に手を動かしていた―