【D!】ダメ人間と堕天使執事【tn】 (ページ25)

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○ ページ25

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森を出た私は、鉄道に乗り、街を目指した

ｶﾞﾀﾝ、ｺﾞﾄﾝ、と揺れる電車の窓際の席に一人座る

寂しい

離れていく森に囲まれた家を見て、そんな感情が沸き上がる

感情に任せて動いたらいけない

胸の中で騒ぎ続ける後悔に苛まれていると、突如お腹から、ぐうぅ～、と音が鳴る

恥ずかしさで、さっきまでの感情は飛び、代わりに空腹感がどっと押し寄せる

頭が回らない中、詰め込んだ鞄を開けると黒いローブで覆われた沢山の食べ物とその他の生活用品が入っていた

沢山あるからと言って、食べ物を沢山消費してしまうと意味がない

その言葉を頭と本能に理性が言い聞かせ、手を慎重に運ぶ

ﾊﾟｸｯ、と何時も書類をしながら食べていたパンを食べると懐かしい味に余計寂しくなって、涙が溢れる

美味しいなぁ、なんて呑気に考えながら、夢中でパンを頬張る

そして、パンを食べ終えた頃には涙と暖かさでお腹がいっぱいだった

そのまま、また移り変わっていく窓の外を見ながら鞄に手を突っ込む

すると何故か、ザラリとした、紙みたいな感触が手から体へと神経を通じていく

何なのか気になり、手に当たったソレを取り出す

そしてまた、ソレの姿を視認したとき、涙がまた溢れた

唯一の心残り、というかなんというか…………

私があの家で一番やりたかった、やり残した事だった

　「トントンと…………………読みたかったなぁ」

ごめんね、兄様。いや、グルッペン様。

感想、伝えられなくて。読めなくて。ごめんね。

私にはこの本、読む資格なんて無いや

ごめんね、こんな、こんな…………………………

　「ダメ人間でｯ……………ごめんｯｯね……………」

私にはそれを伝える勇気も無いや…………………

声を必死に抑えながら、私は泣いた

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