愛だの恋だの(ym×in)

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裕翔といい知念といい、どうしてこうも勘が鋭いんだろう。

いや、裕翔は野生の勘ってやつで、知念のは賢いが故の勘って感じ？

と、どうでもいい考察に思いを馳せていてもどうしようもない。

知念のためにと山田が網に広げた肉が、じゅう、と美味そうな音を立てている。


「えー、前まで必死に避けてたやつと付き合うの？」


固まってる山田は当てにならないし、いい加減焦げつきそうな肉をひっくり返して平然と笑ってみせる。

どっちかといえば、嘘もポーカーフェイスも得意な方だ。


「んー、避けてたのも意識しすぎの裏返しって考えたらしっくり来ない？」

「お、名探偵知念の推理タイム？」

「ずっと裏腹な行動とってたけど、玉砕覚悟の告白が案外さくっと上手くいっちゃって、いままでの反動でベタベタしたい欲求を抑えられない……とか」

「おぉ〜」


非の打ち所のない名推理に、つい拍手なんかしちゃうおれ。

山田はといえば、耳まで真っ赤にして唇噛んでぷるぷる震えてる。

なにそれどういう感情？

恥ずかしいの？見透かされて悔しいの？

やっぱり長年一緒にいるだけあって、言わずとも大抵のことはお見通しなんだなあ、ともはや感心していると、ガタン！と派手な音がした。


「うわ、なに涼介。急に立たないでよ」

「べっ、別におれ伊野尾ちゃんのことなんか好きじゃねえし！」


びしっ、とおれを指さして、唐突に典型的なツンデレ発言かましてきた。

しかも超大声。


「こんな適当な人と付き合うとかないから！マジで！！」

「声でか…」

「おれのタイプ、ちっちゃくて髪の毛ふわふわでピンクとレースが似合う子だから！！」

「あー、元カノみんなそんな感じだよね」

「やっ、元カノの話はしなくていいから！」


キョドりすぎていらん墓穴まで掘りそうになってる。

知念に話すつもりないし、誤魔化すのは別にいいんだけど、ちょっと下手すぎない？

なんだか白けた気分で頬杖ついて、グラスに浮いた雫を指で払った。


「ぃ、いのおちゃんと付き合うくらいなら知念と付き合うし……」


ほらまた余計な一言付け加えてる。

山田のあまりの剣幕に、さすがの知念も押されて「それはどうも…」なんて謎のお礼言ってるし。


「いんじゃない？おれもお似合いだと思うよ」


山田と知念。

交互に指さしながら、にっこり笑って言ってやる。

途端にハッと我に返った顔つきで、山田が絶望の表情を浮かべたのが見えたけど、知らん顔で一番高い酒追加してやった。

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