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──もっとかまって!と彼女に言われたらどうする?
A4用紙に並べられたいくつもの質問たちと向き合うのもアイドルのお仕事。
狭い控え室に缶詰になって、8人それぞれアンケートに向き合っている。
しかしまあこんなに数があるのに、どれもこれも見覚えある質問ばっか。
「この質問、前おれなんて答えたっけなあ……」
隣で唸る大ちゃんみたいに回答に一貫性を持たせるつもりもないおれは思いつくままに用紙を埋めていく。
こういうのはね、フィーリングよフィーリング。
「いのちゃんそれちゃんと考えて書いてんの?」
「逆に考えてるように見える?」
「あっ!可愛いと思う女子のファッションのとこ!それ今日のおれの服じゃん!」
やめろよ〜!とアタックしてくる大ちゃんのコーディネートは、星柄ファンキーなパーカーだ。
『攻めた柄物とか素敵!最近はパーカー女子にときめきます♡』
うんうん、我ながらいい感じに女子向けっぽくなってる。
自画自賛でテンションが上がってきた。
どんな質問でもかかってこいや、とボールペンを握り直すと、
「──ずばり、恋をするならどんな人?」
頭上から降ってきた声。
顔を上げると、ケータリングのシュークリーム片手に山田がこっちをじっと見ている。
「……」
「恋をするなら、どんな人?」
「いやこっち来んなよ。あっちでそれ食ってろよ」
おれから…正確にはおれのアンケートから目を離さないまま、山田はおれの向かいにストンと腰を下ろした。
座るな座るな。あっち行けって。
「どうぞ、おかまいなく?」
にっこり、じゃねーから。
おまえそんなキャラだったっけ?
おれの記憶では、告白されてマジで?って内心驚くくらいはおれにそっけなくて、おれに興味なさげだったはずだけど。
「いいじゃん。おれの服装使ったんだから、そっちは山田のこと書けば?」
「えー…山田のことぉ?」
にやにや口を挟んでくるワンパク小僧の言葉に、ちらりと山田を見る。
……なんかちょっと期待した顔してるし。
「じゃあ……」
背が低くて、かっこつけで、口悪くて、ガキで……チビで…
「ちょっと待ってよ!それ大ちゃんじゃん!」
「いやおまえだよ!」
「だって二回もチビって言った!」
「大ちゃんもチビだけど山田のほうがチビだよ」
「そうだった……」
しゅるしゅる、って空気が抜けてテーブルに崩れ落ちる山田。
そんな山田に「かわいそ…」ってもう一人のチビが同類相哀れんでた。
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ひとみ(プロフ) - 泣くないのちゃんもこれも大好きすぎて3ヶ月に1回くらい読みにきてます笑 この続きもめちゃくちゃ気になるので続きをお願いします!! (2021年11月27日 17時) (レス) @page36 id: e39657dd30 (このIDを非表示/違反報告)
荒川 - めちゃくちゃ好きです!!!続きをお願いします泣 (2021年10月26日 5時) (レス) id: f6705dec1d (このIDを非表示/違反報告)
inuneko(プロフ) - どうしよう!キュンキュンしすぎて叫び足りないんですけど!好きです!あと10回見てきます!!*\(^o^)/* (2020年2月6日 23時) (レス) id: 8271c7e9a0 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - こんばんは。いのちゃんが山ちゃんを好きになってる感じでニヤニヤしちゃいます。早くいのちゃんが恋に気付くといいなーと思ってます。 (2020年2月6日 23時) (レス) id: 1d86e2ca18 (このIDを非表示/違反報告)
あまなつ(プロフ) - さくさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけてなによりです!これからも更新がんばりますね! (2020年2月6日 22時) (レス) id: 8c441c3d0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あまなつ | 作成日時:2020年1月5日 12時