愛だの恋だの(ym×in)

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いただきます、って手を合わせて頬ばった料理はあれもこれもほっぺたが落ちるくらい美味い。

やべえ、美味い、すげえ、幸せ！

大ちゃんみたいに語彙力を失ったおれが知能ゼロで褒めたたえるたび、山田はにこにこ。


「いちいちうっせーな。黙って食いなよ」


口先ばっかり可愛くないこと言って、表情はゆるゆるなの。

山田が特別って話じゃないけど、やっぱり一緒にいる人が嬉しそうだとこっちもつられて嬉しくなる。


「山田はほんと尽くすタイプだねえ」

「え？突然なによ」

「んーん。料理、けっこうこれ時間かかったっしょ」


人のためにそんなに時間費やして、それで喜んでもらえたら超ハッピー！って、まじで根っからの尽くしタイプだよなって思って。


「大体予想はついてたでしょ」


何を今さら、とでも言いたげな声音に、それもそうかとうなずく。

知念あたりへの接し方を見ていれば確かに予想もつくけど、それでもやっぱり感心せずにはいられない。


「健気っていうか、すごいよね。おれが言うのもなんだけど、好きってだけで他人のためにそんな無条件に尽くせるもんなの？」


前の彼女たちも最初はこぞって尽くしてくれたし、と付け加えると、山田はちょっと苦い顔。

元カノの話すんなよデリカシーねえな、って目線を受け流し、味のよくしみた里芋を口に運ぶ。

しばらく山田はじとっとおれを睨んでいたけど、やがて諦めたように小さくため息をついた。


「そうね、重くて執念深くてねちっこい山田的にはですね、」

「根に持ってんなぁ……」

「別に無条件に尽くしてるわけじゃないし、って感じだよね」


伊野尾ちゃんって、意外と純粋？ってにやりと笑われた。

なんだその煽り。


「そりゃ好きな人……あんたが喜んでくれるだけで80％くらい満足なんだけどさ、残りの20％はしっかり打算で出来てっから」

「打算？」

「手っ取り早く胃袋掴みたいし、優しいやつだって思われたいし、付き合っててお得だなって思われたくて必死なの、こっちは」


そう言って、ちょん、と箸の頭で鼻をつつかれた。

なるほど、それが山田の打算。

悪ぶったわりにそれ打算？ってくらい幼気で可愛らしいけども。

ついからかいたくなる気持ちを抑えて、「ふうん」と納得したそぶりを見せておいた。

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