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一瞬、スタジオが水を打ったように静まりかえった。
「……はい、山田くん伊野尾くん、オッケーです!」
上ずったような、少し興奮したようなカメラマンの声ではっと我に返る。
まばたきをして周囲を見渡すと、スタッフさんたちが一様に惚けた様子で頬を紅潮させていた。
……この反応はもしや、めちゃくちゃいいショットが撮れた時のパターンでは?
隣を見れば、山田も「あれ?」みたいな顔でおれを見ていた。
とりあえずオッケー出たことだし、と山田と連れだってセットから戻れば、
次の撮影順で待機してた大ちゃんと裕翔が興奮気味に出迎えてくれた。
「めちゃくちゃよかったじゃん!」
「うんうん、すごいよかった!特に最後の一枚!」
「あ、ほんと?やっぱよかった?」
「最初やまの調子悪そうで、どうしたんだろうねーって言ってたのに」
ね、と同意を求める裕翔に大ちゃんも大きくうなずく。
事情が事情だから山田はちょっと気まずそうで、おれとしてはにやにやしてしまう。
「ふふん、まあグループ切ってのイケメンコンビやからな。これくらいちょちょいのちょいやで」
「なんで関西弁?」
マジレス裕翔はさらりと流し、胸を張るおれに大ちゃんが「さすが師匠!」とノッてくれた。
「どうすればおれも師匠みたいにイケメンショットを撮れますか!」
「そんなの簡単なことやで、大五郎。大五郎の身長があと十センチ伸びて、鼻が二センチ高くなって、あと顔面が山田涼介になれば全て解決やで」
「アッ師匠!おれの要素が一つもなくなってます!」
「ていうか大五郎って誰?」
恒例のぐだぐだ小芝居を挟みつつ、セット替えの状況を確認する。
もう少し雑談する時間がありそうかな、と、思った矢先。
「でもねえ、ほんとに後半よかったよ。なんか、質のいいカップル見てるみたいだった!」
「カッ、プル……」
無邪気な裕翔の一言に、山田とおれの空気が凍り付く。
ピシ、と音がしそうな硬直具合の山田に、あちゃーと内心おれはおでこをぺちん。
そんな山田とおれと交互に見て、大ちゃんはにやーっと笑った。
「分かる、分かるぞ裕翔。質のいいカップルみたいだったなあ!」
「だよねだよねっ。なんかねぇ、なんだろ、最初のやまのぎこちなさも付き合いたてで照れてる彼氏みたいだったし、中盤は週末のデートで何したいか話してる感じ。で、最後は大好きな恋人に愛の告白!」
「……」
さすがにおれも冷や汗かいた。
野生の勘って、すげー……。
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ひとみ(プロフ) - 泣くないのちゃんもこれも大好きすぎて3ヶ月に1回くらい読みにきてます笑 この続きもめちゃくちゃ気になるので続きをお願いします!! (2021年11月27日 17時) (レス) @page36 id: e39657dd30 (このIDを非表示/違反報告)
荒川 - めちゃくちゃ好きです!!!続きをお願いします泣 (2021年10月26日 5時) (レス) id: f6705dec1d (このIDを非表示/違反報告)
inuneko(プロフ) - どうしよう!キュンキュンしすぎて叫び足りないんですけど!好きです!あと10回見てきます!!*\(^o^)/* (2020年2月6日 23時) (レス) id: 8271c7e9a0 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - こんばんは。いのちゃんが山ちゃんを好きになってる感じでニヤニヤしちゃいます。早くいのちゃんが恋に気付くといいなーと思ってます。 (2020年2月6日 23時) (レス) id: 1d86e2ca18 (このIDを非表示/違反報告)
あまなつ(プロフ) - さくさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけてなによりです!これからも更新がんばりますね! (2020年2月6日 22時) (レス) id: 8c441c3d0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あまなつ | 作成日時:2020年1月5日 12時