愛だの恋だの(ym×in)

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***

運ばれてきたのは、ミルクたっぷりのカルアミルクと、レモンの輪切りがグラスにぶっ刺さったレモンサワー。


「いのーちゃん来たよ。先どっちから飲む？」

「どっちでもいーよ。てかどっちもほぼジュースじゃん」


半分こしよって知念がねだるから、まあいいけどって甘やかしたらこの様だ。

両手でカルアミルクのグラスを包み込む知念に、スタッフさんたちがきゃあきゃあ騒いでる。


「ん、おいしい！はい、一口どうぞ」

「ありがとー」


知念が差し出したカルアミルクをあーんで飲ませてもらえば、さっきの倍くらいのキャー！に取り囲まれた。

つい面白くなっちゃって、
「もうひとくち」なんて首をかしげてみせるおれに、知念も可愛くにやっと笑って「口移ししちゃう？」だって。


「知念ったら大胆〜」

「いのーちゃんだけは特別仕様だからね」


顔を見合わせてくすくす笑う時間は最高に平和だけど、そうは言っても今日はスタッフさんとの懇親会だからね。

いつまでも知念ちゃんと戯れてるわけにもいかない。

また戻ってくるねと、不満そうな知念の頭を撫でて席を立った。



*

顔見知りのカメラマンさんから、挨拶を交わす程度のスタッフさんまで貸し切りの宴会場には様々な人がいる。

できればたくさんの人と話したいから、
ひとりひとりと話す時間は少なめにして、挨拶と軽い世間話程度を心がけた。

それでも仲のいい人とは長話になっちゃって、あらかたの人を回り終わる頃には、宴会場はすっかりアルコールのにおいと楽しげな笑い声で満ちていた。


「ちねーん。ただいまぁ〜」

「もー遅いよ。いつまでぼくのこと放っておくのさ」

「へへっ。ごめーん」


なんだかんだで知念も飲み会を楽しんでたみたいで、マシュマロみたいな頬がふんわりピンクになってる。

口調はしっかりしてるのに、語尾がぽわんとしてるのがもう絶妙に可愛くて抱きしめちゃいたい！

っていうファンの方々が喜ぶノリは置いておいて、もう何杯目かのグラスを片手に何故かぽっかりと空いた知念の隣に腰を下ろす。


「ここ、誰もいないの？」

「さっきまで涼介がいたんだけど、他でかなり飲まされてたみたいで、トイレ行っちゃった」

「あー…リバースタイム？」

「かもね」


他人事の知念が甘えて肩にもたれてきた時、背後のふすまがピシャンと勢いよく開いた。

あ、もしかして、


「山田……やまだ？」


振り返った先には、どろんと据わった目をした山田がゆらゆら揺れながら立っていた。

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