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一次会はお開きとなり、テンション高く二次会へと向かう一行をぼんやりと見送った帰り道。
店を出ても、居酒屋の建ち並ぶ街は酔っ払いの声に満ちていて、耳どころか頭の奥にまで響いてくる。
おれも二次会行けばよかったかなあとも思うけど、今日はまだ水曜日。
明日のことを考えると、日付が変わる前には家に帰ってたいし。
駅へと歩きながら、手持ち無沙汰にスマホを引っ張り出すと、未開封のままのメッセージを知らせる通知が画面に現れた。
そうだ。山田。
昼からずっと放置してたメッセージは、開いてみると、やっぱり思った通りの内容だった。
『ほんとごめんね。埋め合わせ絶対するから！』
『焼き肉でもいいよ』
『※食べ放題に限る』
三つのメッセージと、おれにちょっと似てるとかいう猫のスタンプを挟んでもう一通。
『夜、時間あったら電話したいです。声が聞きたいです』
なんで突然敬語だよ。
ふっと鼻から抜けるような笑みがこぼれた。
ご機嫌とりの一環かなあと拗ねた見方をする気持ちもあるけど、山田はそこまで器用な男じゃない。
大丈夫。
たぶん、まだ、ちゃんと両思い。
そんな変に弱気な自信がふいに胸を刺し、ため息をついた。
駅まで十分くらいだけど、一度電話してみようかとスマホをタップしたとき、後ろから足音と声が聞こえてきた。
「いのちゃん先輩！」
「……裕翔？」
振り返ると、中途半端にストールを首に引っかけた裕翔がおれを追いかけてきていた。
「おー、どうしたどうした」
「もー。一緒帰ろうと思ってたのに、会計してる間に帰っちゃうんだもん」
「あ、会計してたの？てっきり裕翔も二次会行ったんだと……」
幹事の役割押しつけておいて、ちょっとひどい仕打ちだ。
勘違いとはいえ申し訳なくて、ごめんと謝ると「怒ってないけど」と笑いながら裕翔は髪をかき上げた。
「先輩も帰るんでしょ？」
「うん、明日も普通に仕事だし」
「だよねえ。絶対みんな二日酔いだよ」
ふふん、といたずらな笑みを浮かべる裕翔に笑い返し、スマホを再びポケットへと入れる。
視線を感じて顔を上げれば、そんなおれの仕草を裕翔が目ざとく眺めていた。
「……歩きスマホ、危ないよ」
恋人からでしょ、って確信をつく言葉よりもずっと優しくて、ちょっと意地が悪い。
「裕翔と一緒だから、もうしないよ」
肩をすくめた瞬間、夜風が強く吹いた。
寒さから身を守るように裕翔も肩をすくめて、ストールをおれに貸してくれた。
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komikku(プロフ) - とても面白かったです〜！続きが気になります☆お待ちしてます☆ (2020年6月5日 8時) (
レス) id: 4ae5ae8e00 (このIDを非表示/違反報告)
あまなつ(プロフ) - みるみるみるきーさん» コメントありがとうございます！三者三様、100%の善人は出てこない重めのお話になるかと思いますが、ぜひ今後もお時間のあるときにお付き合いくださると嬉しいです。 (2020年1月5日 23時) (レス) id: 84a58c20c8 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - 新作、おめでとうございます。今後の3人の展開がとても気になります。更新楽しみにしています。 (2020年1月5日 12時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あまなつ
| 作成日時：2020年1月1日 12時
