【イナクロ】魅惑の少女＿Ⅴ (ページ47)

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その日から私は1人で力と向き合い続けた。

溢れる力を歯を食いしばって押さえ込んだ

気を緩めると、暴発しそうになるこの力

ギュッと拳を握って抑えた。

貴「はぁっ…はぁっ…！！」

力が抜けない…ッ

眠い！お腹すいた！疲れた！

…もう！いい加減言うこと聞いてよ！！

「まだまだ、みたいだね」

貴「！誰？……ｳｩｯ…！！！！！」

知らない男の子に声をかけられて、振り向いたその一瞬で

力が溢れ出した。

貴「誰か知らないけど…こっから離れてッ…！！」

「大丈夫、問題ないよ」

貴「！！？」

彼が私の頭に手を乗せると、力の暴走が止まった。

私は思わず彼の方を見てポカン…としてしまった

彼は何をしたの？

なんで、私でも抑えるのに難しかったこの力を抑えられたの…

「惜しいところまでは来ているね」

貴「なにもの？」

「ﾌｯ…はじめまして…“女神”」

貴「…？」

「君にずっと会いたかったんだけど、奴らの監視が厳しくてね

挨拶が遅れました。僕はサリュー・エヴァン…よろしく」

サリュー・エヴァンは私にかしずくと、私の手を取って甲にキスを落とす。

この男の子はきっと未来から私を連れ去りに来たんだ

離れなきゃ…天馬たちと一緒に戦えなくなる…

そう思ったけど…この男の子の中に見えた
この子が背負っているものがあまりにも重そうで私はその口付けを受け入れてしまった。

流れ込んでくるのはこの男の子の過去の映像なんだろうな…

SARU「…今、僕の過去を見たよね？」

貴「…見たけど？」

SARU「…僕らのこの力は君から受け継がれた大切なもの

でも大人達は僕らを“人類の間違った進化”って言うんだ…

君の存在を否定するんだよ…！！

だから僕たちが人類を支配する、認めさせてやる

僕の仲間はみんな苦しんでた…こんな世界を変えるんだ。

君が生まれてきてくれたから、僕らがある。

君を奪おうとする大人たちを殲滅する

そのために君が必要なんだ

君なら…分かってくれるよね？」

“人類の間違った進化”

私たちSSCが人類を支配する…か。

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ねぇ

私はこの力をなんのために持って生まれてきてしまったんだろうね。