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円堂side
夏未や秋、ヒロトをきっかけに
Aは少しずつ俺たちを見ることができるようになった。
初めは俺たちと目も合わせず、触れられもしなかったが
今は目を合わせ簡単な会話ならできるようになった。
サッカーについてはまだ手を出せずにいる。
円堂「起きたか、A。おはよう(ﾆｶｯ」
貴「……ぉ、はよう守兄」
円堂「よく眠れたか？」
貴「……ぅん…」
円堂「そうか！それなら良かった！飯にするか」
昨日、風丸が持ってきたおにぎりを少しずつ口にするAは
まだどこか虚ろな目をしてる。
ここに来てから雷門イレブンの練習も俺たちで見つつ、
Aの様子も交代で見に来ている。
少しでも早くAを元の状態に戻す
そのために俺たちは寝る間も惜しんでAに向き合った。
貴「…守兄…」
円堂「どうした？」
貴「……私の顔、見すぎ…」
円堂「え、あぁ！悪いな！」
貴「……ごめんなさい…弱くて」
円堂「お前はよく頑張ったぞ」
貴「……ごめんなさい…」
なにかを話すと、すぐに怯えるように謝る。
貴「……守兄たちは、怪我してない…？」
円堂「あぁ！みんな元気だ！怪我もしてない」
貴「……ほんとうに…？」
円堂「本当だ。俺の顔に傷あるか？」
貴「……ない…」
円堂「だろ？」
貴「……守兄たちは…どうしたい…？」
いつもは俺たちの言葉に頷くか、謝るだけだったAが
今日はやけに喋る。
自分の中で何か動き始めたのかもしれないな
貴「……どうしたら…守兄たち…助けられる？」
円堂「俺たちと一緒にいてくれるだけで、俺たちは助けられる」
貴「……私…話すよ…」
円堂「！？」
貴「……話せるよ…？…今なら話せる…と思う…」
円堂「サンキューなA。今、みんな呼んでくる。待ってられるか？」
貴「………うん」
Aは、自分から話すと、そう言った。
大きな1歩だ、凄いぞ！と頭を撫でると少しAは、俯いた。
どこかいつもより表情が和らいでいた気がした。
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作者名：猫まる | 作者ホームページ：
作成日時：2021年2月3日 17時
