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剣城side
翌日
貴「おはよう、京介！ちょっといいかな？」
朝早く家を出ると、
Aが待っていた。
こんなことは初めてで何かあったのかと、不安になった。
剣城「こんな朝にどうしたんだ？」
貴「サッカー…しようよ。京介」
笑ってボールを差し出したその顔は
嫌でも作り笑いだと分かってしまう。
俺とAは学校のグラウンドでボールを交える。
貴「ほら、こっちこっち！」
剣城「くそ！ここだ！！」
貴「(ひょいっ…まだまだね」
剣城「甘い！！」
貴「おわっ？！…あちゃー取られちゃったか。まだまだ！」
Aからボールを奪う。
Aは楽しそうに笑って見せているが、どこか作ろっている。
貴「ちょっと休憩しようか」
いつもより動きにキレがない…
息が切れている。
座り込んだAに飲み物とタオルを差し出し、
俺はその隣に腰掛ける
剣城「何かあったのか？」
貴「……なんもないよ…」
剣城「明らかに様子が変だ。俺になにか伝えるために朝から俺の家に来たんじゃないのか？」
貴「……。…あのね……私…フィフスセクターを辞めたい」
剣城「？！…抜けたんじゃなかったのか？！」
貴「…ごめん、嘘ついてた…」
剣城「……」
貴「抜けたかった…でもできなかったの。あのゴッドエデンで子供たちを逃がすまでが精一杯だった…あの人に逆らえなかった」
剣城「あの人…？」
貴「フィフスセクターを私と作った人よ…今の管理サッカーは嫌い。好きになれるわけない…私はサッカーが楽しいことを知ってる！本当は縛られたくなんかないの...
京介や天馬、雷門のみんなとサッカーしたいの！」
Aの目には涙が溢れていた。
お前は昔から
気高く咲き誇る薔薇のようなやつ。
人に弱い部分を見せないお前が俺にその涙を見せてくれることが嬉しく感じた。
貴「…ごめん、騙して…他の学校を潰したのも私。
ごめん…本当にごめん。」
剣城「何も気にするな。きっとみんな、お前を攻めない。なぜなら、Aは雷門の一員だからな」
Aは誰より優しい。
円堂監督たちを人質に取られているんだろう。
誰かのためにお前はいつだって全力だ。
その背中を俺は見てきた。
俺はAの肩をぐっと自分の胸元へと引き寄せる。
貴「京介…？」
剣城「泣きたい時は泣けよ。俺がいつでもそばにいてやるから」
貴「…ありがとｯ」
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作者名：猫まる | 作者ホームページ：
作成日時：2021年2月3日 17時
