所詮、ただの人間である。【東リべ】 (ページ9)

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第8話ページ9

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『うぉ〜！！祭りだ祭り〜！！！全屋台コンプリートしようぜ！！てか写真も撮ろ！！後でみんなにも自慢してやる！！』

「主さん走らないで！？折角優香さんが綺麗に着付けてくれたのに！」

8月3日。私たちは堀川と共に夏祭りに来ていた。優香さんとは私達が助けた彼女さんのお母さんで、彼女さんの名前は優菜ちゃんと言うらしい。優菜ちゃんはもう既に意識を取り戻していて、お礼をさせて！と私の手を握る彼女はあの時の優香さんのようだった。流石親子。仕方ないから一日お買い物に付き合ってもらいました。これがお礼でいいんですか？と聞かれたが私がコレがいいと言ったのだからコレで良いのだ。

私は堀川の手を引いて屋台を回りながら「堀川は何食べたい？」「主さんあっちに綿菓子ありますよ」「え！半分こしよ！」「良いですよ〜」なんて楽しげに話す。ここに来てからもう大分時間が経つけど、未だ帰る手掛かりは見つけられない。しかし、私は知っている。こんな時こそ部屋に引きこもるのではなく外に出て今のこの状態を満喫するべきだと！！

まあ、本音を言うと私が夏祭りに行きたかっただけなんですけどね。

「主さん広島焼き買ってきました！これ明石さんが前作ってくれたヤツですよね？」

『そうだよ〜！サーターアンダギーも売ってたから買ってきちゃった！』

「今どきの屋台ってそういうのも売ってるんですね！」

その後もチョコバナナやかき氷、たこ焼き等を頬張りながら祭りを楽しむ。堀川もこれ兼さんにも食べさせたいな〜と楽しそうにしていた。本丸に帰ったら夏祭りでも開催するかな。射的や輪投げもしたいけど誰も外さない気がするから別の遊びを考えないと。

ふと横を見上げると、堀川が怪訝そうに暗闇の方を見ていた。この光景この前も見たな、と思いながら堀川の名前を呼ぶ。どうしたの？と聞けば何やら嫌な予感がする。との事。一瞬驚いたが時間遡行軍の類ではないらしい。

「………主さん。」

『気になるんでしょ？いいよ、行こう。』

うちの子たちは困っている人を放ってはおけない。それが刀剣男士である故なのかは分からない。が、堀川が気になると言うのだ。例えこの先に何もなかったとしても、その予感を有耶無耶にするよりは明らかにしておいた方がいいだろう。

そう思い、私たちは足早に暗闇の中に踏み入った。

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