第5話 ページ6
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『どう?なんか手がかりつかめた?』
「………いえ。未だ、何も。」
悔しそうにに俯く堀川の頭を撫でてやりながらそっかーと呟く。過去に迷い込んでからおよそ一週間が経った。なんの手掛かりも掴めないまま、ただ、時間だけが無情にも過ぎていく。その事実だけで心臓を強く掴まれたかのように呼吸が苦しくなる。会えない。寂しい。このまま帰れなかったらどうしよう。頭を埋め尽くすのは不安ばかりで、気を抜けば泣いてしまいそうだった。
駄目だ。泣くな。主の私が泣いてちゃ堀川に示しがつかない。こんなときだからこそ、主である私がしっかりしてなければならないんだ。なんて思ってはいるものの、実行できるかは私の実力次第なのである。
まあそもそもこんな異常事態に1人で頑張ろうと思うこと自体が間違っているので私は静かに自分を叱った。一体何の為の仲間なのだと。助け合うためではないのか。支え合うためではないのか。そうやって自問自答を繰り返し、少しずつ本来の自分を取り返す。そして深呼吸を1度、2度、3度繰り返して私は勢いよく立ち上がった。
『堀川!今日は遊ぶぞー!』
「………っはい!何処までもお供します!」
『ええ?トイレまでは流石に困るなあ。』
「真夜中に突然上から参上してもいいですか?」
『心臓止まるからヤメテ。』
堀川ならやりかねない。と言葉を続けると、堀川は楽しそうに声を出して笑った。ウンウン。うちの子たちはみんな笑顔が一番カワイイしカッコイイよ!辛気臭い顔なんて似合わない。
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「おにいちゃん!遊んでー!」
「おにいちゃん!だっこー!」
『ほう、これが神様の力か。』
「馬鹿なこと言ってないで助けて!主さん!」
やっぱ外の空気は良いね〜!まあここ空気悪いけど!なんて言いながら歩いていたら質素な公園に辿りついた。あるのはベンチとブランコと鉄棒と砂場だけ。うちの本丸には大型滑り台(粟田口作)とかジェットコースター(国広兄弟+青江)とかあるんだけどな。なんて思っていると、迷子なのか、啜り泣く女の子たちを見つけた。
ここで、冒頭にもどる。
女の子たちに抱き着かれて困り果てていた堀川を助け出すと、女の子たちに「おにいちゃんとらないで!」と怒られてしまった。なんだか、お姉さん悲しくなってきちゃったな。
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雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください (10月5日 17時) (レス) @page25 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2023年8月26日 22時