第3話 ページ4
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「ありがとうございます!ありがとうございますっ…!応急処置のお陰で娘は後遺症も残らないと、先生がそう言っていました。娘の未来を守って頂いたこの御恩は、一生忘れません。なにかお礼をさせてください!」
『うちの堀川が気付いて本当に良かった。お礼などいりませんよ。今彼女のご両親である貴方がたが笑顔でいる。この事実だけで大満足です。』
「そんなっ、せめて何か…………!」
あれから2人を連れて堀川と病院を訪れ、不良に襲われていたこと、男の方は骨が折れているかもしれないこと等を受付の方に話した。すぐに手術が始まり、病院側から彼らのご両親に連絡をしてから数十分後。御二方のご両親が病院に駆けつけ、そちらにも私から事のあらましお話をした。今後夜の外出は控えることの旨を伝えると勿論です!と泣かれてしまった。無事手術も終わり、2人の無事を確認したしそろそろビジホ探すか〜なんて思い踵を返した私を止めたのは女の方のご両親だった。
ここで、冒頭に戻る。
いくら大丈夫だと言ってもお礼をさせて欲しいと聞かないご両親にどうしようか、と首を傾げる。別に見返りを求めてこの人たちを助けた訳ではなかった。他人の悪意に踏み潰され、絶望の目をした彼らを救いたいと──助けになりたいと思っただけだった。まあ、言っちゃうと自己満足にも近いね。
なんて考えていると、ふと、堀川が「あ、そうだ」と声を出した。
「理由は聞かないで欲しいんですけど、僕達に寝床を提供してくれませんか?」
『…は?』
「勿論です!そんなことで良いんですか?寝床だけとは言わずご飯と衣服も貰ってください!」
『え?』
は、え?何で??と困惑する私を横目にありがとうございます!と笑顔で頭を下げる堀川。そんな、こちらこそ!と彼女のご両親も頭を下げる。つられて私も頭を下げるが一向に会話の内容が飲み込めない。では、車をそこまで持ってきますね!なんて言って走り去るご両親。私は今だ虚空を見つめている。もしかして普段のやり返しか?実は主のこと嫌いだったりする?
なんて考えていると、ふと、堀川がとある場所を指さして私を呼んだ。その先をみるとそこには『2005年 7月19日』と記されており、私はまた困惑した。
どうやら私たちは
───過去に来てしまったらしい。
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雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください (10月5日 17時) (レス) @page25 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2023年8月26日 22時