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第25話 ページ26






「なあなあ薬研。この葉っぱ何?」

「薬研は何で白衣着てんだ?」

「それは薬草だ。白衣を着てるのは………まあ、着たいからだな。」




あれからお互いに自己紹介をした。そしたら何故か薬研がすごい懐かれた。流石我らのニキである。にしても身長がそこそこデカい2人が見た目小学生低学年の薬研を囲むこの絵面は事情を把握してない人が見たら即警察案件だろう

楽しそうに談笑する灰谷くんたちと薬研を横目に私は彼らの"大将"である黒川くんに視線を向ける。黒川くんの隣には鶴蝶くんが立っていて、目が合うとニコリと笑ってくれた。可愛い




『それで、一体何用かな?』

「…………。」




優しく問うた私への返答は沈黙。言いたいことがあったから私を呼んだんじゃないの?そう問うても、黒川くんは濁った瞳で私を見下ろすだけだった。褐色肌のせいか一層目立つ真っ白なまつ毛、その更に奥に隠されたアメジストの瞳からは何の感情も感じられない

まるで家来かのように彼の横に立つ鶴蝶くんは困ったように形のいい眉を下げて彼を見つめた。鶴蝶くんだけじゃない、灰谷くんたちやその他の"天竺"の子たち全員の視線が彼に集まる。当の本人は何処か居心地が悪そうに身を捩り俯いた

何かを察した薬研が「大将」と呼び、私はそれに頷き言葉を放った




『………場所を移そうか?』




私の言葉にピクリと彼の指先が動く。数分程度の沈黙が続き、結果、私はその無言を肯定と受け取ることにして黒川くんの手を引いた

その間、彼が私の手を振り払うことはなかった














「オマエは、どっかのチームの総長か?」

『は?違うけど』



やっと重たい口を開いたと思ったら、一体全体何を言い出すのだろうか。私は彼の言葉の先を促すようにどうしてそう思ったの?と問うた



「あのガキはオマエを大将って呼んでたが?」

『あー。まあ、チームというか家族みたいなもんかな』

「家族?………血も繋がってねぇのに?」



純粋な子どものように、何かに縋るように、黒川くんは私に疑問をぶつける。今の子たちって何でそんなに血縁を重視してんの?いつの時代ですかそれ



『血縁関係ってさ、そんなに重要?』

「は?」



私はゆっくり彼に近付いて彼の頬を両手で覆った。悲しげなふたつのアメジストが私を捉える。
こんな簡単なことすら教えてくれる人と出会えなかったんだね、きみたちは。




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雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください (10月5日 17時) (レス) @page25 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2023年8月26日 22時

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