第20話 ページ21
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「はあ、兼さんは一体どこに………………ん?」
兼さんを探す旅に出ること三千里。兼さんは元気にしているのだろうか。好き嫌いして歌仙さんや燭台切さんに迷惑をかけていないだろうか。兼さん、兼さん。と、兼さんのことばかり考えながら歩き回っていたら、全く知らない場所に辿り着いた。ここは何処だ?辺りは殺風景で特別何かがあるようには見えない。しかし、とある建物(?)の中からいくつもの怒号が聞こえる。こんな所で喧嘩か?見たところゴミ捨て場にしか見えないんだけどな。
僕は少しの違和感を感じながら軽く足に力を入れて塀(?)の上に飛び乗った。どうやらここは廃車場のようだ。中に見覚えのある顔を見つけたが、取り敢えず傍観に徹することにした。下手に動くのは得策ではないからね。
ウンウン、と一人で納得する。途端、松野くんと花垣くんの声が一段と大きく聞こえた。何があったのだろうか?目を凝らすと、場地くんに───ナイフを持って恐る恐る近づく人間が目に入った。僕は咄嗟に大声を出す。
「松野くん!!!!札は!?!?」
「!?………ほ、堀川さん!?」
僕の突然の登場に目を丸くする。松野くんだけじゃない、他の人間たちも僕の登場に目を奪われていた。しかし、ただ一人、凶器を持った彼だけが何かに囚われたかのようにナイフを突き刺そうと必死に腕に力を入れた。戦場ではよく見た景色だ。
松野くんが花垣くんの名前を呼ぶ。すると、何故か花垣くんの懐から主さんの御札が表れた。藁にもすがる思いだったのだろうか。昨日はそんなものが本当に?なんて半信半疑だったのに、花垣くんは必死にそれを場地くんに張り付けた。
瞬間、思いっきり突き刺したハズの凶器が弾かれ目を見開いた彼の背中に回り静かに手刀を繰り出す。へへ、闇討ち暗殺お手の物〜、なんてね。
「オイ、誰だテメェ。」
「「「堀川さん!」」」
場地くんの声に被せるように僕の名前が紡がれる。声の正体は、三ツ谷くんと花垣くんと松野くんだ。
「何でここにいンだ?Aさんは?」
「今日は別行動です。人探しの為にフラフラしてたらここに来てただけなので特に意味はないですよ。」
「人探しっすか?」
「人探しなら協力す…………しますよ!」
「気持ちだけ貰っておきます。というか松野くん無理して敬語使わなくていいよ。」
「ウッ…、」
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雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください (10月5日 17時) (レス) @page25 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2023年8月26日 22時