所詮、ただの人間である。【東リべ】 (ページ20)

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第19話ページ20

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「どこに引っ越すんだ？というか今はどこに住んでるんだ？」

『え……あれ？言ってなかったっけ？』

私の両肩を掴んで離さないイヌピーの発言に引っかかり薬研と蛍丸にアイコンタクトをとる。どこに住んでるとか以前に今の私たちには戸籍すらないのだ。あれ、戸籍がないってことは万が一にでも警察に捕まったら大変なことになるんじゃね？流石にこの歳になって刑務所暮らしとか絶対嫌なんですけど。

私は不思議そうに首を傾げるイヌピーとココくんに今は知り合いの家にお世話になってること、事情があって家には帰れないこと等を説明した。すると凄い哀れみの目を向けられた。え、何で？

「つまり、家が欲しいんだろ？買ってやるよ。」

あまりにも理解不能である。

懐からカードを取り出したココくんと財布どこだっけ？と探し出したイヌピーにお願いだからやめてと訴える。本丸以外に家なんて要らないし、家買うとしても年下、ましては他人に支払わせるなんて人間として有り得ないし普通に嫌だ、地獄の閻魔大王に有罪判決されてしまう。私の天国への道を閉ざさないでくれ頼むから。

薬研も「楽しそうだな」なんて傍観しないで助けて。君の大将今人道から外れそうになってるんだよ？いいんですか自分の大将が非人道的になっても。蛍丸も完全無視キメないで主悲しい。私の子たちって命の危機が伴わないときの私への扱いちょっと、というかかなり雑だよね？主泣いちゃう。

『ま、反抗期の弟みたいで可愛いけどさぁ。』

無意識にそう呟くとイヌピーとココくんが急に深刻そうな顔つきになった。え？何？私なんか地雷踏んじゃった？眉間に皺を寄せて困惑する私を横目にイヌピーが徐に立ち上がり私に近付いた。そして、目の前まで来たと思った瞬間───柔らかい匂いに包まれた。イヌピーが私を抱きしめたのだ。

『急にどうしたの？お姉さん他の家の子どもをあやすのは苦手なんだけどな。』

優しく私を包み込むイヌピーを揶揄うような言葉を放つと更に抱きしめる力が強くなった。アッ、またなんか地雷踏んだな私。唯一の救いであるココくんは俯いたまま動かない。お腹でも痛いのだろうか。

私は力強い抱擁を前にして動けなくなってしまった。敗訴である。

「はは、あまりにも遅いモテ期だな大将。」

『黙らっしゃい！』

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