第11話 ページ12
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「お久しぶりですね、三ツ谷くん。妹さんたちは元気ですか?」
「おう!良かったらまた遊んでやってくんね?」
「僕でよければ、是非。」
仲良さそうに話す2人を横目に私はキョロキョロと周りを見渡した。見定めるような視線が突き刺さり、無意識に眉間に皺を寄せる。三ツ谷くんから呼ばれて来ただけなのになんでこんな不愉快な視線を浴びなければならないんだ、と苛立ちを感じ始めたそのとき。「三ツ谷ァ!」と、聞き覚えのある声が上から降ってきた。徐に顔を上げると、そこにはあの時ドラケンくんの隣にいた子がいた。というか私勝手にドラケンくんって呼んでるけどコレ大丈夫かな?バレたらぶん殴られない??私は自分の将来に不安を感じながら堀川に近寄る。
「マイキー、この人たちが堀川さんとAさん。多分タケミっちが言ってた人たちで合ってると思う。」
「……………タケミっち。」
「ウッス!その人たちで合ってるッス!!」
「……そっか。」
マイキーと呼ばれたその男の子はゆっくりと階段から降りてきて私達の前へとやってきた。なんだなんだと首を傾げると、マイキーくんは勢いよく頭を下げた。瞬間、周りの人達が息をのむ。
「ありがとう………ッ!!」
『うん?』
「酷い怪我だったけど、適切に施された止血のお陰でケンチン死ななかったって…………だからッ、」
必死に溢れる涙を堪え、震えた声を張り上げながら頭を下げるマイキーくん。ギュッと握られた拳からは彼が心の底からその子が無事であったことへの喜びと自分が守れなかったことへの悔しさを感じとることができた。
………で??ケンチンis誰??
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「ありがとな。お前らは命の恩人だ。」
『あー!君がケンチンか!』
とりあえずケンチンに会ってやってくれ!と言われて病院まで案内された私たち。いや、だからケンチンて誰?三ツ谷くんも嬉しそうに頷いてないでフォローして?なんて心の中で騒ぎたてながらとある病室に踏み入ると、そこにはドラケンくんがいた。最後のピースがハマった時のように納得し、頷くと、ドラケンくんは頭の上に『?』を浮かべていた。
『私君のことは"ドラケン"で認識してたからさ』
「あ〜(察し)……ウチのマイキーが悪ィ。」
「は?何で?」
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雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください (10月5日 17時) (レス) @page25 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2023年8月26日 22時