検索窓
今日:9 hit、昨日:1 hit、合計:11,106 hit

序章 ページ1








とある日の夕方。外で刀剣たちが焼き芋をしており、美味しそうな匂いに心を高ぶらせながら一向に減らない書類と向き合っていた私と堀川。



『あとどのくらい〜?』

「全然減ってないですね」



こんな会話をするのも何回目だろうか。近侍の堀川国広と大きな机を間に向かい合いながら私は必死にペンを動かす。そもそも、何故このような惨状が起きてしまったのか。それについて話そうと思う。


始まりはそう、私の純粋な疑問から始まった。


某日。今日も今日とて愉しそうに酒を煽る日本号にそんなにお酒って美味しいの?と純粋な疑問をぶつけた私。ただ、少し気になっただけなのに。主はコレの良さが分からねぇのかとかなんとか言われ、挙句の果てには、これすら飲めねぇとか主はお子ちゃまだなと煽られた。普段から煽り耐性のない私はまんまとそれに乗ってしまい──気づいた時には、もう遅かった。


年齢的には全然大丈夫なんだけど、私がお酒を飲むと大変なことになる(体験談)と清光に再三言われていたのにお酒を飲んだ私。数口飲んだだけで顔を真っ赤にし、理性を飛ばした。寝て起きたら怒った清光が布団のすぐ横にいてあ、これ死んだな。と悟ったのがもう一週間も前のこと。


そして、これは酔った私が大暴れして壊した本丸の修理費用と勢いだけで行った大掛かりな宴会に掛かった費用等の書類である。プラス、そろそろ始まるイベントについての書類も重なって地獄のような書類の山が出来上がった。




「ぁ、」

『どうしたの堀川。兼さんでも見えた?』

「違いますよ!」

『な〜んだ。寂しすぎて幻覚でも見えてきちゃったのかと思ったわ。』

「………真夜中に主さんの枕元に立って呻き声あげてもいいですか?」

『絶対ヤメテ。』




そろそろマジで飽きてきたな。なんて思っていたら突然か細い声を出した堀川。今遠征で本丸を不在にしている兼さんの霊でも見えたのかと聞けば違うらしい。真夜中の枕元とか一番立っちゃ行けないところな気がするな、主は。なんて思いながらペラペラと書類を捲ると、再び堀川が絞り出したように声を出した。どうしたの、と声をかけようと顔を上げると、途端に、酷い頭痛が私を襲う。


庭で遊ぶ刀剣たちの楽しそうな声をかき消すように大きな耳鳴りが脳に響き、数分も経たずに私たちは意識を手放した。








第1話→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (48 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
138人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください (10月5日 17時) (レス) @page25 id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みるくてぃー | 作成日時:2023年8月26日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。