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NOside
いつの間に雲が晴れたのか。
先にゴールラインを越えた金城は青空を仰ぎ,後ろの雛虎は恨めしそうに顔を伏せた
「 はぁっ…はぁっ………
流石先輩…速いですねぇ」
喉の奥から絞ったような声を出す雛虎
「今の速さの雛虎に言われてもな…
速くなったじゃないか」
さらに低い声で笑う金城
「最後の伸びが異常だった先輩に言われてもねぇ…?」
2人は目を合わせてクスリと笑った
「先輩,ありがとうございました」
「俺の方こそ ありがとう」
互いに握手をしてから2人はふらりと傾いた
「「「雛虎ちゃん!!」」」
「「「金城っ!!」」」
玉や黒田に身体を受け止められた雛虎は空を見上げる
先程まで爛々と光っていた目はいつものように戻り,その目からは済んだ液体がポロポロと流れ落ちて来た
玉,鳴「「ひっ雛虎ちゃん!?」」
黒「どうした!?どこか痛むか?」
雛「…がう」
「「「え?」」」
雛「違うの
痛いのは胸の奥でっ…
ただ…悲しくて」
「「「…………」」」
雛「どうしようもできない事なのは分かってるの
でも先輩が卒業しちゃうのが悲しくて
放課後一緒に走れないし...
学校でも顔合わせられないし...
__最後くらい先輩の事追い越したかったのにな」
一点を見つめポロポロと涙を流し続ける雛虎の頭を,黒田がポンポンと撫でる
黒「今生の別れじゃねーんだからよ
そんなんでメソメソ泣くんじゃねえ!」
雛「え,あ,スイマセン」
優しい撫で方とは反対に厳しい口調。
雛虎はポカンと口を開けて黒田を見つめた
黒「そんなに悲しけりゃ放課後金城さんの大学に突撃しに行きゃ良いだろ」
黒田の無茶振りな提案に雛虎はうなづく
雛「その手があったか...」
手「その手があったか...
じゃねーよ!やめろ黒田
雛虎に変なこと吹き込むな
本当にやりかねない。」
黒「すまん」
そんなやりとりを見て雛虎はクスクスと笑う
「ありがとう雪にぃ」
その笑顔に黒田がドキリとしたのは本人の秘密である。
「よーし!
毎日洋南まで行くぞー!」
「ほら見ろ言わんこっちゃない!」
「ヤバイで
雛虎ちゃんが疲れておかしくなっとる!」
「あっ雛虎さん!
そっちは危ないよ!!!」
「「誰か雛虎を止めろ!!」」
「雛虎ちゃんストップストップ!!!
落ちる落ちるダムに落ちちゃうから!!!!」
その後正気に戻った雛虎は土下座して謝ったとか。
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作者名:Mayu | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/manyamanya1/
作成日時:2020年11月5日 23時