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はぁ、と自然にこぼれるため息。
実際会った時に無視されるわけじゃないしむしろ話しかけたらちゃんと返事してくれるけど、なんか、前みたいちゃうねんもん。
まっすぐで綺麗な黒をした瞳とも、もうずいぶん長いこと目が合ってないかも。
やっぱり一年も早く高校生してたらウチの知らんだいちゃんになるもんなんかな。
こんなウチみたいなんが近くにおったら迷惑なんやろうか。
寂しい気持ちとか弱気な気持ちが顔を出して一気に気分が沈んでく。
あかんあかん!強気でおらんと!
だいちゃん、かっこいいから敵は多いんやでっ。
そう言い聞かせて気合を入れるようにほっぺたをペちっと叩くと後ろから笑い声が聞こえた。
振り向くとポケットに手を突っ込みながら気だるそうに立つ見慣れた人物がいた。


「流星!」
「よぉ、朝からなにしてんの?」
「ん?あぁ、気合い入れてた」


自然と横を歩き始めるこの男、藤井流星。
流星とは中学からの付き合いで高校も一緒でちょっとおつむが弱いけどスポーツ推薦で入学してサッカー部に所属してる超イケメンくん。
性格もいいし顔もめちゃくちゃかっこいいけど天然で、それでもいざという時は頼りになるウチの恋愛相談相手。


「そういえば今日朝練は?」
「グラウンド整備入るらしいから放課後だけ」
「そうなんや」
「ともは今日もしげに逃げられたん?」
「ちょっと!逃げられたってやめてぇな!だいちゃんは流星と違って真面目に朝練行ってんの」
「いや俺のはサボりちゃうし」


ボケっとしてそうで流星って案外喋るからテンポよく進む会話は飽きひん。
そうこうしてたら学校にも着いて靴を履き替えると下駄箱に向かうとそこにはずっと会いたかった人がいた。


「だいちゃん!!!」
「うえっ、ともやん」
「なんでそんな嫌そうにすんのよっ」
「嫌っていうか......流星と一緒に来たん?」
「ん?うん、たまたま会ってん」
「...あっ、そう」
「あー!もしかして、ヤキモチ...?」
「うっさいわ、そんなわけあるか」
「えぇ、もうだいちゃんってば素直ちゃうなぁ」
「ともー、先行ってんで〜」
「あっ!ちょっ、流星待ってよ!」


朝練を終えたであろうだいちゃんがちょうど靴を履き替えてるところに遭遇して突撃する勢いで駆け寄ると鬱陶しそうな顔を見せる。
ツキン、と小さく胸が軋む音がしたけど知らんぷり。
相変わらずそっけなさのある返事にわざと明るく振舞ってみせる。

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作者名:いえやす | 作成日時:2023年4月12日 8時

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