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けど俺知ってるねん、神ちゃんが俺のお願いに弱いってこと。
顔の前で手を合わせて必死に懇願し続けたら神ちゃんがついに折れて大きいため息をついた。
よっしゃ、粘り勝ちや！って内心ガッツポーズをした瞬間、フォークで掬ったケーキは綺麗に神ちゃんの口の中に吸い込まれて消えていった。
あれ、おかしいな。今のは「あーん」の流れちゃうん？
全然神ちゃん折れてくれてへんやん！って文句を言ってやろうと口を開こうとしたら目の前が陰って、見つめていたケーキから視線を外した先には神ちゃんのドアップ。
かわいらしいリップ音が鳴って離れていくぬくもり。
「 あ、え、あれっ、けーき、」
ぽかんとひとり状況に置き去りな俺と勝ち誇ったように得意げな顔の神ちゃん。
｢ どや、甘さ2倍になったやろ？ ｣
なんちゅう小悪魔。2倍どころの騒ぎじゃない。
神ちゃんのデレるタイミング、未だに掴めへんくていつも不意打ちで心臓撃ち抜かれてるねん。
あからさまな甘い雰囲気とか行為中は初めてかってくらい毎回恥ずかしがってピュアピュアなくせに急に男らしなって自分からしかけてくるから俺の身がもたへんのよ。
だからってやられっぱなしも悔しいから次はこっちから仕掛けてやる。
してやったりと嬉しそうににこにこしてる神ちゃんとの距離を一気に縮めて、まるっこい後頭部に手を伸ばして無防備に薄く開いた唇に自分の唇を重ねて舌を挿し込んでやる。
生クリームの甘さが残る咥内を弄んで、仕上げにかわいらしい唇をペロッと舐めて離れると顔を真っ赤にして瞳を濡らした神ちゃんがおって。
「 甘さ、何倍になった？ 」
「 ..........っ、今後ひとくちもやらん！！！ 」
機嫌を損ねた神ちゃんはあっという間に残りのケーキを完食して寝室に逃げてしまった。
結果、直接糖分を摂取したわけでもないのに胸焼けするような感覚になった俺は慌てて神ちゃんの後姿を追った。
fin
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作者名：いえやす | 作成日時：2022年9月1日 1時
