# ページ38
おれはお前のオカンちゃうぞ、と内心ツッコミながら回された腕を解こうとするけどすればするほどギギギと強くなる力にもはや呆れる。
「しーげ、なぁ、顔みたいし手、緩めて？」
作戦変更。ちょっと困ったような声音で未だ力のこもった手を優しく撫でればわかりやすく体をピクっと反応させて緩まっていく腕の力。
ほんまにわかりやすくて単純でかわいい。
くるり、と身体を回転させると寝癖をつけてお世辞でもかっこいいとは言えへん寝起きの顔のしげ。
ちょっと浮腫んでて、顎にはちょっぴり顔を出した黒い点々。
「おはよう、しげ」
「...えへへっ、神ちゃんおはよぉ！」
「うわ、きっしょ！」
「なぁんでそんなん言うの！」
ボケっとした顔を覗き込むように目線を合わせて今更朝の挨拶をすると、大好きな白い歯を見せてちっちゃい子が照れ隠しするみたいに笑って返してくれる。
いつもみたいにふざけると結局また抱きつかれて「チクチク攻撃や！」なんて言いながら控えめに生えた髭をほっぺや肩に擦り付けてくる。
そのままじゃれ合って揉みくちゃになってるといつのまにか身体もポカポカになってなんなら気づけば息もちょっとあがってたりして。
ぎゃあぎゃあ騒いでた声が自然と止んで、合図もなくどちらからともなく顔を近づけて重なった唇。
様子を伺うように音を立てて何度も啄むようなキスは唇を舐められて開いた隙間に滑り込んできたあたたかい舌を迎え入れて、激しさを増していく。
気づけば後ずさってしまっていたおれは洗濯機に腰を預けるように凭れて、そんなおれを囲うようにして手をついて完全に動きを封じこめてくるしげ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 347人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いえやす | 作成日時：2022年9月1日 1時
