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結局そのまま3人で電車に揺られて学校の最寄り駅に到着。
初対面とは思えへんくらいすでに仲良くなってるしげと流星にホッとしつつも、おれのが先やったのになぁって、じゃれ合うふたりを見てちょっとだけヤキモチ。
そのまま学校に向かって一緒に歩き始めたら流星が何か思い出したように声を上げた。
「そうや、俺まだ課題終わってないねん」
「どうせまた寝てもうて忘れてたんやろ」
「せーかい。やし先行ってるしお二人さんはごゆっくり〜」
「あっ、ちょっ!流星!」
なにやらさっきのおれにしたみたいにしげに耳打ちをするとひらひら、と手を振って足早に去っていった。
一瞬こっちに向かってウインクをしてきたから流星にはなにもかもお見通しで仕組まれたことにすぐ気づく。
ついさっきまで自然に話せてたのにふたりになった途端に緊張して言葉が詰まる。
左半身ばっかに意識がいってもうて、口の中もカラッカラ。
どうにか話題を出そうとした時に思い出した、しげに聞きたかったこと。
「そういえば、よくおれがあそこに乗ってることわかったなぁ」
「だって神ちゃん、いつもあの車両のあの扉の前におるやん」
「え?なんで、しげ、知ってんの...?」
驚いて立ち止まってしまうおれにしげは漫画の動きみたいに顔の前で手を忙しなく動かして「ストーカーとかちゃうで?!」と慌ててる。
突っ立ったままのおれの元へとパタパタと駆け寄ってきたかと思えばその場で大きな深呼吸を始めるしげ。
学校に向かう生徒たちがたくさんいる中で向き合って立ち止まってるおれたちを不思議そうに一瞥しては通り過ぎていく。
「一目惚れやねん。ずっとかわええなと思ってた」
ちょっと待って。思考停止。
真剣な眼差しでおれを見つめながら言い放つしげ。
おれ今、どんな顔してる......?
「神ちゃんが好きです」
「返事はすぐ.....︎︎︎︎︎じゃなくて!」
「もっと俺のこと知って、それからがええな」
「これからはがっつりアピらせてもらうから」
おれに話す隙を与えず爆弾宣言をするだけして颯爽と走り去っていったしげ。
綺麗な黒髪が靡く隙間から見えた耳は異常なほど赤くなっていて思わず笑いが込み上げる。
「...言い逃げかいっ」
おれの答えはもう決まってるっていうのに。
おれが返事をしようとすると耳を塞いで「ぴゃー!」と奇声をあげるしげを見れるのはそう遠くない未来やった。
To be continued...?
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作者名:いえやす | 作成日時:2022年9月1日 1時