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各駅、停車した駅から彼の友達らしき人らが乗車してきてさっきまで難しそうな顔で外を眺めていた彼は今日の天気とは真逆に太陽のような笑顔をみせて友達と喋りだす。
ちょっぴりお友達さんが羨ましいなって思うことはあるけど、ここからあの屈託のない笑顔をみてるだけでおれは十分。
流星がぺらぺらと横でなんかしゃべってるけど、楽しそうに友達とじゃれ合うその姿から目が離せへんくてしばらく見つめていたら不意に彼がこっちに視線を寄越した。
バチッとおれと彼との間に電撃が走ったような、そんな感じやった。
やけどそれは一瞬のことでこっちが慌てて視線を外す前に彼から目を逸らされてしまう。
全力疾走したあとみたいな心臓の動き。
目が合っただけでこんなにドキ ドキしてたら実際に彼を目の前にした時、おれ、どうなってまうんやろ。
「やっぱ声なんかかけられへん...」
入学してすぐ、一個上の彼に恋をして早一年。
相変わらず今日もただ遠くから彼を見つめるだけ。
ちょっとの勇気さえあれば、恋人なんて高望み言わへんからお友達ぐらいにはなれるかななんて。
あの日、自覚した『好き』は見えないゴールテープめがけて走り続ける。
───どうかおれに、少しの勇気を与えてください。
灰がかった大きい雲が覆う空を見つめながら心の中でひっそりと神様にそう願った。
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神頼みしたあの日から数日。
勇気をもらうどころかなかなか雨の日が来ることはなく、むしろ晴天が続いていた。
おかげで彼に声をかける以前に姿を見ることすらできない日々。
神様に頼ったおれがアホやったんかな。
自分の力でなんとかしろ！って言われてるみたいで、毎朝天気のいい空を見る度に肩を落としていた。
学校が同じとはいえど学年が違うから校舎が別でなかなか見かけることはなくて、さらにレア度が高まる彼に近づける日なんか来るのかと悶々としていた。
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作者名：いえやす | 作成日時：2022年9月1日 1時
