# ページ11
今朝もしげに｢なんか声おかしない？｣と突っ込まれたけど「寝起きやしちゃう？｣とそれらしい理由をつけて誤魔化した。
しげは首を傾げてたけどそれ以上は言及してこうへんかったから別の話題で話を逸らした。
だって素直に言うたら、しげ優しいからきっと撮影はよ終わらせてご飯行くのもやめてまっすぐ帰ってきそうやん。
おれのことをめちゃくちゃ大事にしてくれてるんは嬉しいけど、ちゃんとしげの人間関係とか仕事のことも優先して大事にして欲しいっていうのも本音やから。
体調管理も仕事のうちのひとつってよく昔から言われてきたから普段から気を遣って過ごしてたけど、もらってくるもんはもらってくるしなぁ。
むしろ休みの日でよかったやん、と自分に言い聞かせつつも最近決まった大事な仕事のことを考えると不調を訴え始めた体に気持ちが沈んだ。
｢ んー、ほんまは見たくないけど....... ｣
引き出しの2段目、救急用品をまとめてるそこから体温計をだしてきて脇に挟む。
ほんまは熱を測るのさえも嫌なくらいやねん。
数字を目の当たりにした途端、余計にしんどく感じてまうから。
とはいえ今日みたいな一日中オフの日なんてこれから当分はないやろうし、治すならまだ本格的に症状がでてない今のうちやろう。
仕事に穴を開けるなんてことは絶対にしたくない。
ピピピッ、と電子音が鳴って渋々確認してみるとそこには36.9と表示されていて、なんともいえへん数字にため息が零れる。
ギリギリ37度台に乗っかってないとはいえこんなんただの誤差。
熱は夜にあがりやすいから、そしたらしげにも迷惑がかかるし移しかねへん。
あんなんでも体調崩しやすいタイプやねん、しげ。
やからしげが帰ってくるまで安静にして近寄らせへんようにしとかんと。
今日は大人しくベッドとお友達になることにする。
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作者名：いえやす | 作成日時：2022年9月1日 1時
