２９．欠片 ページ4
「おそいよヒャクショウ」
「悪ぃ。なに、どした？」
ぷりぷり怒ってる
そういえばこいつ、さっきから何やってたんだろう。
「もう、おかあさんもー！はやくー！！」
「はいはーい」
俺にだいぶ遅れてAがやって来た。
ゆっくり歩いてるうちに気持ちを立て直したらしい。
さっきの仕返しのつもりか俺の腕を軽く叩いて、
Aは柊と目線を合わせてしゃがみこんだ。
「ごめんね、お待たせ。どうしたの？」
「あのねーえ、いーもの見せたげる」
「いいもの？」
「うん。こっち来て！」
柊にぐいぐいと引っ張られて、
俺とAは大きな木の陰に連れていかれた。
「ほら！！」
怪訝そうな俺らに笑いかけると、
やたら嬉しそうな柊が地面にあった大きな葉を持ち上げた。
「わぁ、キレイ…」
「おーすげぇ！」
「でしょー」
柊が得意げに俺らを見上げる。
土の上に並べられた、それはたくさんの…
「シーグラス…だっけこういうの。
すごいね柊、よくこんなに集めたねぇ」
母親に褒められた柊は飛び跳ねて喜んでる。
水色や茶色、緑色をした小さな丸っこい石。
磨りガラスのような風合いの粒を思わずひとつ手に取った。
「これかー…」
「なにが？」
「いや、さっきあっちでお前と話してる時にさぁ、」
空に手を掲げてた柊とその手の中の輝き。
あの光の正体にやっと合点がいった。
「まだあっちにいっぱいあるんだよ」
「そうなの？」
「うん、ちょっと来て来て！！」
柊がさっきの場所にAを案内して行く。
だんだんに遠ざかるその声を背中で聞きながら、
俺はそっと光る粒のそばにしゃがみこんだ。
「シーグラス、かぁ…」
確かビーチグラスとも言うんだっけ。
元々は古いガラス製品の欠片で、
波にもまれてるうちに角が取れて小石みたいになったものだ。
(綺麗だな…)
素直にそう思った。
ただのガラス片と言えばそれまでだけど、
(すげ、綺麗…)
――あれ、サクショウもパクチー嫌いとか？
――おはよう！
――どうかなこの浴衣…え、なんか変？
思い出されるAの色んな表情。
地面に散らばった色とりどりの小石は、
その１粒１粒がまるで…
「…すげぇ数だな(笑)」
まるで、俺が今日までずっとずっと胸の奥に封じ込めてきた、
Aへの気持ちそのものに思えた。
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薫子(プロフ) - ヤーコンさん» 初めまして！嬉しいコメントをありがとうございます。私も学生時代には友達と旅行なんてしませんでしたが、大人になってから仲間内数人と年１回【遠足】行くようになりましたよ♪なのでヤーコンさんもぜひ(^_-)-☆ 続編もありますので良ければお楽しみ下さいませ！ (2018年2月9日 16時) (
レス) id: bb4ba45953 (このIDを非表示/違反報告)
ヤーコン(プロフ) - 初めまして。凄く楽しかったです！（会話のテンポとか）友達と遠足、学生の頃行っておけば良かったと、このお話を読んで今後悔してます（笑）自分も妄想する事は有るのですが、お話にする事は出来ないので、凄いと思います。これからも頑張って下さい。 (2018年2月9日 13時) (レス) id: b43d1da901 (このIDを非表示/違反報告)
薫子(プロフ) - さやさん» 亀運転だったから完結後読破の方がストレスなかったと思う(笑) インド…大風呂敷すぎてシニマシタ。ぶきっちょ翔ちゃん、土産もらった方もフォローに困ったでしょうが…ま、みんな「大事にするね」って言ってくれたってことで。BGMいいね♪また某所でお待ちしてます☆ (2013年12月15日 0時) (レス) id: 6043de2546 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 完投お疲れ様です!今更の読破です！まさかまさかのｲﾝﾄﾞ話にﾋﾞｯｸﾘ！ｻｸｼｮｳの頭抱える姿や粘土との格闘ｼｰﾝはいつぞやの林檎の皮剥きとﾘﾝｸするwこのお話は『風の向こうへ・ワイハ』がｱﾀｼはハマったwまた某所にて製作秘話聞きたいわ(^з^)-☆ (2013年12月15日 0時) (レス) id: b8e2f59c3f (このIDを非表示/違反報告)
薫子(プロフ) - ゆきさん» 初めまして、コメありがとうございます(≧▽≦) オチ部分楽しんでいただけてよかったです(笑) とりあえず現在連載中の２本を終わらせてから次の作品…なので時間はかかると思いますが、楽しみに待っていて下さい♪他作品にもぜひいらして下さいね！お待ちしてます♪ (2013年12月14日 10時) (レス) id: 6043de2546 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：薫子
| 作成日時：2013年10月23日 19時
