◆-129-◆お開き ページ10
相葉がライムベースの方の作り方を小原に習っている間に、
皆からオーダーを聞いた田野が好きな酒を１杯ずつ作った。
それを飲みながら４人でまた静かにテーブルを囲んでいたのだが、
「…テツ」
「…あ、はい？」
やがて低く聞こえた小原の声にそれぞれがふっと我に返った。
相原を呼んだのにもかかわらず、
小原は目の前のグラスを見たままだ。
(どうしたんだろ…？)
相葉が不思議に思った瞬間、
小さく笑った相原が口を開いた。
「いいっすよ。やっときますから、俺。あと」
「すみませんねぇ相原くん」
自分だけ何か聞き逃したのかと相葉が一瞬思うほどに、
相原と田野がスラリと会話した。
「あーでも店長その代わりー」
「…許す」
「私のもよかったらどうぞ」
「やった、マジっすか？」
３人だけで進む会話に、
完全に置いていかれた相葉がきょとんとする。
皆の顔を交互にただ眺めていると、
小原がスッと立ち上がった。
「相葉さん」
「へっ？ …あ、はい」
あっけにとられたままの顔で小原を見上げると、
向こうは真剣な表情でじっと相葉を見ていた。
「…今日は、ありがとうございました」
意外な言葉に相葉の目が丸くなる。
今日は自分が頼み込んで時間を取ってもらったのだ、
「そっ…そんな、お礼言うなら僕の方です！」
ガタガタと椅子を鳴らし慌てて立ち上がる。
急に来た上に勝手ばかり頼んだことを詫びかけると、
その相葉の言葉を小原がキッパリ遮った。
「いいえ」
「へっ？」
「――いいえ、相葉さん。それでも、です」
静かだがひどく強い言い方に圧倒され、
相葉が何も言えずにいると、
「私からも、相葉さん」
「え…」
「本当にありがとうございました」
小原と自分の使ったグラスを下げて戻ってきた田野が、
しんみりと優しい声で同じことを言った。
「いっ…いやでも、俺別にお礼言われることなんか…
ホントに、あの…」
「ほらもー店長も田野さんも！
すげぇ困ってんじゃないですか、相葉くん」
しどろもどろの相葉を見ていた相原が、
呆れたように優しく笑った。
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薫子(プロフ) - さやさん» いつもありがとう！ご想像通り解放感に満ち溢れておりまーす(笑) とにかく完走できてホッ！次はリーダー終わらせてあげなきゃ(-_-;) と言いつつ他の話も書いてるとこなのでまたどうぞよろしく♪ (2017年9月30日 15時) (
レス) id: bb4ba45953 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 取り敢えず〜！お疲れ様でした！お話のお陰で以前の楽譜を引っ張り出して、ｱﾀｼも再チャレンジしてました！その時はできなかった弾き方を求めて…といいつつ、２回もお話を楽しませて頂きありがたき幸せw (2017年9月30日 8時) (レス) id: d0bf1f7a31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：薫子
| 作成日時：2017年9月9日 9時
