◆-153-◆花の海 ページ34
―――そして彼女の命日から数ヶ月後。
「わ、すっげー……！」
角を曲がった途端、目の前に現れた光景に息を呑む。
何度も写真で見て知っているつもりになっていたが、
実際に来てみるとやはりそのスケール感は別格で、
広大な風景に相葉は圧倒されていた。
「来たよ、Aさん…」
まさに見頃を迎えたこの時期に合わせ休みを取り、
相葉はひとりで再びこの地を訪れていた。
「すげぇなぁ…」
花の黄色、葉の緑、そして空の青。
それらのコントラストの鮮やかさに目を奪われながら、
相葉は少し高台になった場所に座り込んだ。
「はー気持ちい…」
平日の朝一番ということもあり自分の他には誰もいない。
真夏らしい太陽がすでに空高く輝いているが、
風の爽やかさに相葉は汗を拭い目を細めた。
(…いいよね、誰もいないし)
キャップを取り大の字に寝転んだ。
目の前全てが青一色になり、
そのまま空に吸い込まれそうな錯覚を覚える。
「いい天気だなぁ…」
大きく伸びをしてそっと目を閉じると、
吹き渡る風が草の香りを運んできた。
『どこにいんの？』
『…そうですね、どこにでも』
あの日のことは誰にも話していない。
話しても夢だと笑われることだろう。
しかし相葉は信じていた。
彼女は本当のことを、
まっすぐに伝えてくれたのだ、と―――
「だって、いるよね…ここに」
大の字に寝転がったまま呟き、
閉じていた目をそっと開けた。
「いるよね、Aさん…」
真っ青な空の中に、
黄色い海の中に、
頬をなでる風の中に…
自分が見ている世界の全てに彼女は存在し、
そしていつも自分と共にある。
相葉の心に広がるその想いはもう決して揺らがず、
それはかつて大野があれほど願っていた、
―――消えない青空
まさにそのものだった。
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薫子(プロフ) - さやさん» いつもありがとう！ご想像通り解放感に満ち溢れておりまーす(笑) とにかく完走できてホッ！次はリーダー終わらせてあげなきゃ(-_-;) と言いつつ他の話も書いてるとこなのでまたどうぞよろしく♪ (2017年9月30日 15時) (
レス) id: bb4ba45953 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 取り敢えず〜！お疲れ様でした！お話のお陰で以前の楽譜を引っ張り出して、ｱﾀｼも再チャレンジしてました！その時はできなかった弾き方を求めて…といいつつ、２回もお話を楽しませて頂きありがたき幸せw (2017年9月30日 8時) (レス) id: d0bf1f7a31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：薫子
| 作成日時：2017年9月9日 9時
