◆-146-◆酷薄さ ページ27
「本当に、飛んできそうだったんだよお前」
その声の調子を聞いた相葉が、
わずかに目を細める。
「全部ちゃんと…仕事とか、
信じらんねぇぐらい全部ちゃんとやってんのにさ。
目を離したら、フッてお前…いなく、なりそうで。
毎日毎日、俺すげぇ怖かった」
「うん」
「だからホント不謹慎なんだけど…
お前があの日色が分かんないって言った時。
俺、心のどこかでちょっと…安心、したんだわ」
「…うん」
「ごめんな…ごめん」
頭を下げた拍子にパタリと涙が落ちた。
自分が泣いても何にもならない、
それはよく分かっている。
「やめてよ翔ちゃん、なんで謝んの？
頭上げてよ。ほらもう…ね？」
優しい声に櫻井の胸がさらに痛む。
なぜならあの時自分は―――
『色、がね…分かんなくなっちゃった。俺』
相葉があれほど愛した人の死を共に
ただこれで相葉が壊れずにすむというその事実にホッとしていた。
彼が無事なことで『嵐』も壊れずにすむと思った。
相葉の傷の深さもその大きさも、二の次だったのだ。
そして３週間前、相葉がいなくなった時も―――
『ふざけんなよ…！』
勝手にあいつを置いてったくせに。
これ以上あいつを苦しめんな。
あいつに何かあったら許さない。
絶対に許さない。
返せ。
あいつを返せよ。
返せ、返せ、返せ…！
タクシーで相葉を探し回る間、
頭にあったのは彼女を呪うような気持ちだけだった。
その自分の酷薄さを謝らずにはいられなかった。
相葉は自分を怒っていい、怒るべきだとすら思っていた。
しかし―――
「ありがとね、翔ちゃん…
そんなに泣いてくれて。
…俺らのために、泣いてくれて」
相葉は涙目を拭うと、
絶句したままの櫻井に大きく笑いかけた。
「でも安心してよ翔ちゃん。
会って話せたからさ、こないだ…
だからもう絶対、全部大丈夫」
「…ってごめん、誰に？」
「誰にって」
プッと吹いた相葉が、
しかし真面目な顔に戻って言う。
「…Aさんに」
そっ…それってまさか、
お前が倒れた時に夢ん中でってこと？
小さく頷いた相葉がチラリと櫻井の顔を見る。
途端に申し訳なさそうになった相葉が何を言うかと思えば、
「ごめん、翔ちゃんこういう話苦手だったよね」
…今そこ謝るとこじゃねぇだろ！
とガックリしながらも、
(ああ、そういうことか…)
あの日病室で大野が呟いた言葉の意味に、
櫻井はこの時やっと合点がいったのだった。
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薫子(プロフ) - さやさん» いつもありがとう！ご想像通り解放感に満ち溢れておりまーす(笑) とにかく完走できてホッ！次はリーダー終わらせてあげなきゃ(-_-;) と言いつつ他の話も書いてるとこなのでまたどうぞよろしく♪ (2017年9月30日 15時) (
レス) id: bb4ba45953 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 取り敢えず〜！お疲れ様でした！お話のお陰で以前の楽譜を引っ張り出して、ｱﾀｼも再チャレンジしてました！その時はできなかった弾き方を求めて…といいつつ、２回もお話を楽しませて頂きありがたき幸せw (2017年9月30日 8時) (レス) id: d0bf1f7a31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：薫子
| 作成日時：2017年9月9日 9時
