7つのキス ： WEST

Taste of Kiss ：赤 ページ36

「A〜ただいま〜」

　


「お、おかえりお兄ちゃん」

　



東京のマンションで会社勤めのお兄ちゃんと二人ぐらし。


本当は、部屋を借りて一人暮らししたかったんだけどお兄ちゃんに阻止された。

　


まだ大学生やから危ない、って。


　


ほんまアホちゃう。


　

「お土産あるで」


　


まあ、でも、寂しくない、のは


　

いいことかな。


　


「なになに！食べ物？」

　


「…人やねん」

　


「え？」


　

ヒョコってお兄ちゃんの背中から顔を出すのは、ああ

　


「シゲさんか」

　


「ちょ反応薄いわあ」


　

せっかく淳太の後ろに隠れてきたのに。


つまらなさそうに唇とがらせて、ソファーに座り込む。

　


「くつろぎすぎや」


　

お兄ちゃんが突っ込んだら、ニヤニヤって笑って嬉しそう。

　


「Aちゃん俺ビールで」

　


「はいよ〜って、居酒屋かっ」

　


「今日もキレがええね〜」

　


さいこー


　

って少しお酒が入ってるようで。


　


まったく手が焼けるお土産を連れてきたもんだ。


　


お兄ちゃんにそっと目線を送ると、目があって、ラインが鳴る。


　

『シゲがどうしても来たい言うて。』

　

『たまにはええかな〜って』

　

『言わんでごめんな』


　


もう可愛いスタンプ送ってきたし。



　

えっと…


シゲさん嫌いやない。


○。


これでいいかな。


　

もう一度お兄ちゃんをみれば、


あ、絡まれてる。


　


つくづく思うけど、シゲさんってアホだよなあ。


　


…ほんと見ててたのしい。


　

「Aちゃんも一緒に飲もうやー」

　


「はよ来て〜！ちょどこ触っとんねん」

　


「ひゃはは」


　


どうやら今日は楽しそうな飲み会のはじまりです。


　


　


…わたしまだ未成年なのでジュースだけど。


　


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