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大倉｢別に、サックス辞めろ言うてるわけちゃうねんからな？
サックスが合う曲は入ってくれたらベストやし、どうしてもギターで入りたいなら全員で考えるし｣
｢…うん｣
忠義おすすめのタンシチューは、本当に絶品だった。
くどくないデミグラスに、柔らかいタンが口の中でほどけて混ざり合う。
大倉｢こんだけ10年以上もやってきてんねんから、楽器の選択くらい間違えへんのは知ってるから。
もし間違えたら、そんときは俺らがちゃんと言うたる｣
いつの間にスプーンを手にしていたのか、彼のシチューの器は、既に空っぽになっていた。
隣のステーキも最後の二切れとなっていて、私もペースを上げてナイフを入れた。
大倉｢それにしても楽しみやな、岡本一家の『DAYBREAK』｣
｢一家って(笑)｣
大倉｢お前やって本名は"岡本"やんか。
で、ちゃんと練習してるんか？｣
｢ん、まぁね｣
ステーキを彼が口に入れた3分の1の大きさで頬張り、『圭人に教えてもろたよ』と呟いた。
大倉｢すごいな、息子のレクチャーかいな(笑)｣
｢さすが息子やで、コード完璧やもん｣
大倉｢DNAやば(笑)｣
その後はいつもどおり、くだらなくて他愛もない話をして。
お腹がはち切れるほどお肉を摂取した私は、スマートにカードを切った忠義に『ゴチでーす』と冗談混じりに頭を下げた。
大倉｢誕生日くらいはな｣
｢来年はお寿司ね｣
大倉｢気が向いたらな(笑)
……ん、これやるわ｣
目の前に差し出された、白い小さな紙袋。
彼の大きな手から受け取ると、中にはふたつ、四角い箱がおさまっていた。
大倉｢いっこは圭人に。
結婚祝い、大したもんあげてへんからな｣
｢…開けていい？｣
手のひらを上にして『どーぞ』のジェスチャーをしてきたから、遠慮なく片方の箱の蓋を持ち上げた。
｢うわ、かわい｣
大倉｢アンクレットやから、ちょっとやそっとじゃバレへんやろ｣
華奢な二連の革紐リング。
そこにふたりのイニシャルが入った小さなプレートがぶら下がっている。
大倉｢最初は結婚なんて、妹が嫁に行くみたいで嫌やったけどさ。
やっぱAが喜んでんのがいちばんやわ｣
赤ワインのグラスを傾けて、『まだ複雑やけどな』と小さくため息。
｢…ありがと、大事にする｣
当たり前の言葉しか言えない私。
でも、本当に嬉しくて感謝していること、きっと目の前で微笑む男は全部分かっているんだ。
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紅羽(プロフ) - 恋するバイリンガル最後まで読ませていただきました。お疲れ様でした また、短編集や新作ゆっくりでもいいので書いて欲しいです！！楽しみしてます！ (2018年7月22日 23時) (
レス) id: 765bb6b86f (このIDを非表示/違反報告)
紅羽(プロフ) - 色々大変かと思われますが少しずつでもいいのでこれからも更新楽しみにしています！微力ながら応援しています！頑張ってください^ ^！ (2018年7月5日 21時) (レス) id: 765bb6b86f (このIDを非表示/違反報告)
紅羽(プロフ) - 布由さんはじめまして！いつもこちらの作品楽しみに見させて頂いてます！ 圭人くんのニュースビックリしましたが、脱退じゃなくて一安心しました。 そして今回の大阪の地震私の住んでいる所も凄く揺れました。 (2018年7月5日 21時) (レス) id: 765bb6b86f (このIDを非表示/違反報告)
りぬここ - 読んでいる側としてもいつも楽しく読ませていただきました！また他のお話ができた際には是非読みたいと思っています！これからも応援しています。 (2018年4月30日 17時) (レス) id: a2b269496c (このIDを非表示/違反報告)
りぬここ - 今まで沢山の楽しいお話をありがとうございました。渋谷さんが辞めてしまったことをニュースで知ったのですが、ファンじゃなくてもえっ…ってなってすごく悲しい気持ちになりました。素敵なお話を忙しい合間を縫って作っていただき、ありがとうございました！ (2018年4月30日 17時) (レス) id: a2b269496c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：布由 | 作成日時：2017年12月14日 2時
