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圭人「俺も今日マネージャーから聞いてびっくりした」
「全然自信ない…、人前で弾くの久しぶりすぎるわ」
夜は比較的、早く帰れた今日の仕事終わり。
家でゆっくり簡単な夕食をつつきながら、晩酌程度に白ワインで乾杯した。
圭人「『DAYBREAK』のリズムなんて、Aだったら余裕じゃん。
別に自信なくすことなくない?」
目の前の圭人は豚のしょうが焼きとご飯をほっぺに詰め込んで、キョトンとした瞳で私を窺う。
もぐもぐしながら首を傾げる姿はなんとも可愛いんだけれど、思わず頭を撫でようとしていた左手を『今は違う』と引っ込めた。
「だって、ワンマンのライブでも5年は弾いてないねんで?
それでいきなりカウコンで、しかも圭人と圭人パパに並ぶとか…」
圭人「俺は嬉しいよ」
私の緊張や不安を微笑みで包み込み、彼はお茶碗を置いてごくん、としょうが焼きを飲み込んだ。
圭人「俺、パパと一緒にステージに立つのも夢だったけど、Aとステージで肩を並べるのも夢だったの。
かっこいいパパと可愛い奥さんに並んでギター弾けるなんて、すげー楽しみ」
唇の端にしょうが焼きのタレを付けて、ふわりと笑う圭人。
どんな不安だって、この笑顔がいつでも私を助けてくれる。
「ここ、タレついてる」
一度引っ込めた左手で唇の端を拭ってあげれば、彼は目を細めて照れ笑いした。
圭人「せっかくかっこいいこと言ったのに、ダサいね俺(笑)」
「そーゆーとこも含めて、すきやから」
長い前髪から覗く瞳を丸くして鼻を掻く圭人は、以前よりも更に目鼻立ちが健一さんへ近付いている。
圭人「『DAYBREAK』、けいとが教えよっか?」
「ふふ、息子直伝?」
圭人「俺、何回もステージで弾いてるからプロだよ」
頼もしい彼の言葉に、私は『先生、よろしく』と冗談ぽく笑った。
彼は付け合わせのサラダを頬張り、『スパルタ練習だよ』なんて言いながら、またドレッシングを口の周りに付けている。
「だから、ドレッシングついてるってば(笑)」
圭人「俺やっぱダメだ、かっこいいこと言えないわ」
次はティッシュを差し出して拭くように促すと、唇を尖らせて拗ねた真似。
圭人「Aが拭いてくんなきゃ、やだ」
「甘えんな、24歳」
圭人「えぇ…昔はもっと優しかったのに」
子供扱いしたら怒るのは、あなたでしょうが。
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更新滞っててすみません。
退職したので、ゆっくり書き進めていきます。
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紅羽(プロフ) - 恋するバイリンガル最後まで読ませていただきました。お疲れ様でした また、短編集や新作ゆっくりでもいいので書いて欲しいです!!楽しみしてます! (2018年7月22日 23時) (レス) id: 765bb6b86f (このIDを非表示/違反報告)
紅羽(プロフ) - 色々大変かと思われますが少しずつでもいいのでこれからも更新楽しみにしています!微力ながら応援しています!頑張ってください^ ^! (2018年7月5日 21時) (レス) id: 765bb6b86f (このIDを非表示/違反報告)
紅羽(プロフ) - 布由さんはじめまして!いつもこちらの作品楽しみに見させて頂いてます! 圭人くんのニュースビックリしましたが、脱退じゃなくて一安心しました。 そして今回の大阪の地震私の住んでいる所も凄く揺れました。 (2018年7月5日 21時) (レス) id: 765bb6b86f (このIDを非表示/違反報告)
りぬここ - 読んでいる側としてもいつも楽しく読ませていただきました!また他のお話ができた際には是非読みたいと思っています!これからも応援しています。 (2018年4月30日 17時) (レス) id: a2b269496c (このIDを非表示/違反報告)
りぬここ - 今まで沢山の楽しいお話をありがとうございました。渋谷さんが辞めてしまったことをニュースで知ったのですが、ファンじゃなくてもえっ…ってなってすごく悲しい気持ちになりました。素敵なお話を忙しい合間を縫って作っていただき、ありがとうございました! (2018年4月30日 17時) (レス) id: a2b269496c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:布由 | 作成日時:2017年12月14日 2時