顔がいい ページ7
*
湧「最近また増えたよな」
竜生たちが去っていった方向をみたまま湧が言う。
「顔だけはいいからね」
颯「えー、俺は俺は？」
「颯太もかっこいいよ」
竜生の顔がいいのは私が1番よく知っている。
もちろん、誰からも愛される性格だということも。
小さい頃からずっと隣にいたんだから、
竜生の隣だけは絶対に誰にも譲りたくない。
湧「にしても、よく告白するよな」
颯「モテモテだね」
湧「Aみたいなのが隣にいるのに」
「みたいなのってなん」
湧「いや、自信なくすっしょ」
そういって、私の頬をつまむ。
「いひゃい」
湧「お前も顔だけはいいからな」
「うっひゃい」
さすがに痛いので湧の腕を掴んで阻止する。
ちょっとヒリヒリするんだけど…。
湧って力加減って言葉知らないわけ？
颯「俺はAの性格も好きだよ〜」
「颯太“は”いい子だね」
“は”と、わざと強調させるように言うと
にっこにこの颯太の頭をこれでもかと撫で回す。
湧「いや、犬か」
颯「わんわーんっ！」
「颯太なら飼ってもいいかも」
湧「やめとけ」
「お。それは、湧が飼いたいから？」
湧「あんまちょーしのんなよ！」
気が気じゃないこの時間も、
いつも2人が紛らわせてくれる。
当の本人たちはそんなつもりないかもしれないけど、
私にとってはいてくれなきゃ困る存在になってた。
そんなこと絶対本人たちには言わないけど。
気づいたら教室の入口を見つめていて、
早く戻ってこないかな、なんて思う。
その時、2人が心配そうな面持ちで
私を見ていることにこの時は全く気づいていなかった。
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作者名：大谷
| 作成日時：2023年6月22日 13時
