世界でいちばん愛しい人。【深田竜生】 (ページ26)

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平然を装うページ26

*

「ただいま〜」

湧「お、来ましたよ」

教室にもどると

湧と颯太は何故か私の席にいた。

しかも湧はニヤニヤと笑いながら

私の“机”に座っている。

「私の席なんだけど？」

しっしっ！と払うように2人に退く様に促すが

湧は悪びれる様子もなく机に座ったままで、

颯太は私の声が届いていないのか、

視線は私の後ろに向いていた。

颯「あれ？深田も一緒に帰ってきた」

「じゃ」

竜「そこで会ったから」

邪魔をされたのだ、と愚痴を言おうとした

私の言葉を遮る竜生。

私の後をつけてきたのは秘密らしい。

竜生の顔を見ると、頭を優しく撫でられた。

竜「うっちーくん、Aの席」

颯「あ、ごめんごめん！」

湧「お前、手洗ったか？」

竜「どっちでしょ〜」

湧「わっ、お前！その手で顔触んな！」

竜「ちょ、洗ったって！(笑)」

逃げる湧と追いかける竜生を横目に

空いた私の席に座る。

しれっと2人を動かす竜生に、

心臓がギューっと痛む。

颯「A？」

「ん？」

颯「大丈夫？」

「うん、だいじょぶ」

黙って竜生を目で追っていたのを

不思議に思ったのか颯太が顔をのぞきこんできた。

必死に誤魔化して平然を装う。

顔、赤くなってないかな…。

*