世界でいちばん愛しい人。【深田竜生】 (ページ24)

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負けず嫌いページ24

*

ヘラッとした笑顔を前田くんに向ける竜生。

そして続けて彼に伝える。

竜「俺の許可が無いと無理なんよね」

前「や、あの、えっと」

竜「君にはAは似合わないと思うよ」

突然のことに、私も1歩も動けずにいた。

竜「てことで、この話は終わり！じゃね！」

勝手に話を切りあげた竜生は

呆然としている前田くんを置いて

私の腕を掴み走り出した。

「りゅ、竜生！」

呼びかけても反応は無いし、

止まろうとさえしない。

「ちょ、待って」

竜生は自分の足の長さと運動神経の良さを

分かっているのだろうか。

私は足がもつれそうになる。

やっと竜生が立ち止まったのは、

人気の無い階段だった。

「りゅ、なん、」

竜「息切れすぎ」

「だっ、て、走る、から！」

竜「運動不足すぎじゃない？」

なんなんだ、この男は。

急に現れて、急に走り出して。

「なんで、こんな」

竜「ん？」

「前田くん、置いてきてさ」

竜「アイツのこと好きだったん？」

「んなわけないやん」

竜「ならいいやん」

何故か勝ち誇ったような顔の竜生。

何故か悔しくなる負けず嫌いの私。

*