38 ❤ ページ39
宮舘side
事務所の地下駐車場から出発して3分。
話があると俺を誘ったAちゃんだけど、何を話すでもなく、緊張の面持ちで運転に勤しんでいる。
後部座席から見る、君の横顔が好きだ。
運転しながら、他愛ない話でケラケラ笑う声も好き。
機嫌の良い日に無意識で漏れる鼻歌も好き。
俺が疲れてるときには話しかけずにそっとしてくれる気遣いも好き。
彼女の運転に揺られながら、現実逃避的に思いを巡らす。
「……舘さんそれやめて。見すぎ。」
赤信号でゆっくりとブレーキを踏んだAちゃんは、口をムズムズさせながら俺にクレームをつけてくる。
どうやら情熱的な視線を送りすぎたらしい。
『…話って、なあに。』
苦情に取り合うことなく、真っ直ぐ見つめたまま本題を切り出せば、彼女は「んあー」とか「うぅー」とか小さく唸った後、ポツポツと語り出した。
「舘さんの話聞いて、わたしも考えてみたの。」
「そしたら、同じだなって思って。」
師走の東京。
事故か工事か。渋滞で、ずいぶん道が混み合ってきた。
「わたしも、一緒にしょーもない話するの、好きだよ。」
「収録で楽しそうにしてるとわたしまで嬉しくなるし、ボケた後の満足気な顔見ると可愛いなーって思う。」
「でもステージ上の姿はかっこよくて、ドキドキする。」
進行方向の交差点の先には、既に車がぎっしり犇めいている。
「まわりの人、よく見てるよね。些細なメンタルの不調にも気付いて、さり気なく寄り添えるところ、尊敬してるし、助けられてる。」
「だから、舘さんが元気ないときは、わたしも気が気じゃないんだよ。頼ってほしいなって思ってる。」
信号が青に変わっても、先が詰まっているからなかなか動き出せない。
ノロノロ進むだけ。
「ツアー中、衣装さんと楽しそうに話してる声聞いてちょっとムカついた。わたしとは目も合わせてくれないのにって。正直羨ましかった。」
前の車のブレーキランプが、彼女の顔を赤く照らす。
「だから、多分、同じかも。…気持ち。」
後ろを振り返り、心底困った顔をしてAちゃんは言った。
「ねえ、こういう時はどうしたら良いの?」
1541人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
びすこ(プロフ) - まあさん» まあさん、はじめまして!わたしも舘様寄りの箱推です🥹一緒🥹🥹嬉しいコメントありがとうございます!クラクラな展開になるかはわかりませんが😂二人を見守ってくれると嬉しいです。またいらしてください! (1月2日 17時) (レス) id: c715209984 (このIDを非表示/違反報告)
まあ(プロフ) - 初めまして!舘様寄りの箱推です。いや、待ってましたよこのお話😍もっともっともっと、私達をクラクラさせて下さい! (1月1日 8時) (レス) @page46 id: c613e7ffb3 (このIDを非表示/違反報告)
びすこ(プロフ) - yukiさん» yukiさん、コメントありがとうございます😳🌹わー!うれしいです!更新頑張ります! (9月23日 0時) (レス) id: 2dbdd1eef0 (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - すごくすごく好きなお話です!更新楽しみにまっています❤️ (9月18日 2時) (レス) @page42 id: 20f54394f0 (このIDを非表示/違反報告)
びすこ(プロフ) - ひまわり。さん» ひまわり。さん、コメントありがとうございます🫶更新頻度上げられるように頑張ります! (9月12日 20時) (レス) id: 068df6770e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:びすこ | 作成日時:2023年2月25日 2時