3.夢見る世界 ページ3
「呪霊が存在しない世界を作る、ですか」
なんともぶっ飛んだ質問
でも、なるほどなと考えさせられる内容だ。
呪術師がこれからも呪霊を祓い続けるのではなく、呪霊が生まれる根本的な原因を無くす。
九十九さんはそう言っているのだろう
「そもそも呪霊は非術師たちから生まれるもの。非術師がいなければ呪霊も生まれない」
「そうだね」
呪霊が生まれない世界。それを実現させるためには、非術師が一定以上の呪力を扱える術師になる。
もしくは__________
「………結論から言うと、私は“ムリ”ですね」
「あらら……」
常日頃、呪術師たちは非術師たちの平穏ために呪霊を祓い続ける。何千年も昔から続くそれは、呪術師にとっては“あたりまえ”となっていて、そもそもの原因を解決することはなかった。
正直、盲点だったなとも思ってしまった。
「理由は?」
「呪霊が生まれない世界になったとしても、 争いが無くなるわけじゃない。非術師が呪力を扱うことが出来たとしても、その力を悪用して呪詛師になるのがオチですよ」
呪術師には明確な敵が存在する。そして、その敵を討つために扱うのが呪力。しかし、その敵の存在が無くなり、力だけを持ってしまったら…………ということだ。
「………なるほどね。それじゃあ、全人類の“呪力が無くなった場合”は?」
「そうなれば、呪いによる事件が“不可解”“解決困難”で終わるだけでしょうね。あとオカルト好きが騒ぐ程度」
九十九さんはニッコリと笑って頷いた。どうやら納得してくれたらしい。
「貴重な意見をありがとう。これからも特級同士、仲良くしよう」
「………はい、よろしくお願いします」
私にはこの人がよく分からないまま。
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作者名:名無しの権兵衛 | 作成日時:2020年12月28日 2時