１１.成長 ページ11
帳の降ろし忘れ、繰り返す遅刻、軽薄な態度などなど、話したらキリがないという感じでポンポンと出てくる悪行の数々。
なんかうちの子がすみません……
「そういえば………予め、お前のことを少し聞いてな」
調査依頼の件だろう。本来ならそういう風に、依頼相手のことは知っておくべきだ。
だけど私は夜蛾先生のことを全く知らなかった。真面目にやろうとしていたつもりが詰めが甘かった……呪術歴何年だよ………
「どんなヤツなんだと悟に聞けば、嬉々として話していたな」
「………アイツに直接聞いたんですか？」
「ああ」
「まさか今日来ること知ってたりします？」
「今日来るのは俺も知らなかった」
「あっ………」
墓穴を掘ってしまった。
そんなことより、坊が私のことを嬉々として話せるぐらい覚えてるってことに驚いた、長期記憶ってやつ？
私は子供の記憶に残るようなアクションを起こした覚えはないのだが……
「敵に回すと厄介なヤツ。だが、誰よりも自分の味方になってくれたヤツだと言っていたな」
「あっはは、なにそれ」
かわいすぎか、と言いかけた口をそっと閉じる。
あの生意気だった少年がそんなことを言ってたのか
私に対するツン(八割)デレ(二割)は健在かな
ちゃんと強くなったかな
大きくなったかな
と家を出た我が子を心配する母親のような気持ちになっていたとき
ﾄﾞﾀﾄﾞﾀﾄﾞﾀﾄﾞﾀ！！！
「………何事？」
「まさか………」
猛スピードで廊下を駆ける音。その音はこの部屋に近付き、扉の前で止まった。
ﾊﾞﾝｯ！！！
勢いよく開かれた扉。サングラスをかけた青年。ビックリして固まる私。 ため息をつく夜蛾さん。
「悟、扉が壊れる」
「……………慧琉！！！」
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作者名：名無しの権兵衛 | 作成日時：2020年12月28日 2時
