９.情 ページ9
「坊、起きるの早いね…？」
「……勝手に帰るなって言ったじゃん」
言い………ましたっけ……！？
「引き止めてしまい申し訳ありません。悟様がどうしてもと仰るので」
多分だけど使用人たち、坊のお願いには断れないんだな。気持ちはすごく分かる。本日身をもって知りました。
「またすぐ来いよな」
「………あれれ、やっぱ寂しいんだ？」
「ちげーって言ってんだろ！」
まあまあそう照れなくてもいいじゃん、とか言うとまた怒るので言わない。
はぁ〜
思ってたより情が湧いちゃったのかな
初めは数百年に一度の六眼を見に来ただけだったのに、帰りたくても帰れないじゃん
私を見上げる坊。可愛い………
「悟様、慧琉様は海外の特級呪術師のお一人で、非常に多忙な方なのですよ」
そうそう。本来は任務詰めご多忙セールで日本に帰れる日なんか滅多に無いんだからね。
特級に区分される人材も少ないから一人でも欠けたらもう上層部は大騒ぎ。多分今嘆いてる。
「………慧琉って特級なの？」
知 ら ん か っ た ん か い
「そう。貴方のお家の分家出身の慧琉さんだよ〜」
「へぇ、今初めて知った」
マジかコイツ
いや今日まで一切顔出さなかった私が悪いんだろうけどさ。
「慧琉様、飛行機に間に合わなくなりますよ」
ホントだわ
日本からイタリアまで約１６時間。
現在時刻午後５：３０
時差約８時間
あっちは朝９：３０ぐらい？
今からだと夜中１時過ぎくらいになるか
元々夜型の人間だし、何時に着いてもいいけど……？
「………………」
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作者名：名無しの権兵衛 | 作成日時：2020年12月18日 2時
