9話 ページ9
志麻side
それは急だった
まさか自分に指名が来るなんて思ってなかった
そりゃそうだ、自分は花魁ではなく禿だ、
浦「うん、紅も出来たね、よし!」
志「ありがと、浦田さ……浦田花魁」
浦「いーえ、」
化粧もとうとう終わってしまった
行かないといけないのか…
浦「……大丈夫だよ、」
そういって頭を撫でる浦田さん
いつもなら恥ずかしくてすぐに手を避けるが今だけは心地が良かった
浦「大丈夫だよ、怪しいお客でもなんでもないから」
志「…なんかあったら逃げてもええ、?」
浦「よっぽどのことがない限りはお客と一緒にいてね?」
志「…わかった」
浦「よし、じゃあ行こっか」
そういって俺の手を取り、客の待つ部屋へと案内をする浦田さん
花魁ってやっぱり凄いんだなと思いながら歩く
長い廊下を歩いた先の部屋で止まった
ここにお客がいるらしい
浦「ここからは志麻くん1人だからね」
志「…わかった」
頑張って、と言葉を残し自分のお客の所へ行く浦田さん
こんな所で怖がってる場合じゃないな、と自分の頬を叩き覚悟を決める
襖を開け一言…
志「……本日お相手致します、志麻でありんす」
志「よろしゅうございま……す…」
顔を上げるとそこにいたのは
『志麻さん!!』
なんでこんな所に……
『志麻さんと、ちゃんと、お話がしたくて、!』
今にも泣きそうな顔をしてる君の顔、
そんなに必死にならんくてもええのに、なんて思ってる
でもそんな顔になるくらい俺の事大切に思ってくれてるんかな、とも思ってる
どっちにしろ、少しだけ嬉しい
少しだけ、本当に少しだけ、ガチやぞ、ガチやからな??
でももし俺の過去の話ならどうしよう、
あれ半分坂田の嘘なのに……()
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作者名:まるさん | 作成日時:2020年3月1日 14時