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そう零した利平さんがこちらへ戻ってくる。いい顔の再来だ。
『……どうかなさいました？』
利吉｢あの、宜しければこれを｣
『……？』
そう手渡されたのは小さな紙袋。中身は……なんだろう？
『これは？』
利吉｢ほんの気持ちです、では──｣
そして利吉さんは徐に私の耳元へ顔を近づけて
──今度は学園で会おう、くの一教室のAAさん。
と言った。
気がつけば利吉さんの姿はどこにもなく、私は渡された紙袋を持ってその場に立ちすくんでいた。
……今の、何？
利吉さん、私の事知ってた。なんで？学園では会ったこと無かったのに。……私が知らないだけでいつの間にか見られていた？うそ。
耳を掠めたあの吐息の感触と声が忘れられない。なんだかまだくすぐったくて耳を手で覆った。
『……そうだ、これ』
手渡された紙袋。開けると中には
──ちりん
『…………りき、利平さん！』
思わず彼の名を呼ぶもそこには私を不思議そうに見る通行人のみ。鈴の音がなるそれは、先程私が小物屋で見ていた簪だった。
『えっ、まってなんで……うそぉ…………』
利吉さんは｢ほんの気持ち｣って言っていた。……実習お疲れ様、とか？そんな勘違いしてもいいんですか？いや、だからってそんな…………ええ……？
いつ会えるか分からないけど今度会った時ちゃんとお礼しよう。断られても必ず押し付けよう。
『……すみません、お勘定お願いします』
｢はーい。……あら、お客さんのお勘定はもう頂きましたよ？｣
『え？そんなはずは』
｢ええ、確かにさっきの男性が払われていかれました｣
『………………まじかぁ』
⋮
待ち合わせ場所にしていた町の外れへ着くと、シナ先生は優雅に木にもたれかかっていた。ふつくしい。
シナ｢お疲れ様、Aちゃん｣
『先生……』
表情から察するに先生は全て見ていたようだ。
シナ｢色々聞きたいことがあるけど、まずは実習の報告からしてちょうだい｣
『……はい。今回は──』
⋮
シナ｢……うん、完璧ね。さすがAちゃん。それにしても……利吉くんが居るなんてねぇ｣
『はひ……黙って実習に付き合わせてしまった上、団子屋のお勘定に……簪まで……』
先生も彼がここに居ることは知らなかったらしく全くの偶然なんだとか。懐から取り出したそれが控えめにちりんと鳴る。見れば見るほど可愛いけど同じくらい罪悪感が……
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蒼葉碧(プロフ) - みむまむにさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます〜！ヽ(^0^)ノ (2020年9月23日 8時) (
レス) id: 63148b8798 (このIDを非表示/違反報告)
みむまむに(プロフ) - すごく好きです！前作から引き続きずっと楽しいです！神作をありがとうございます！！ (2020年9月22日 21時) (レス) id: c45f50d5a3 (このIDを非表示/違反報告)
桜舞姫・蝶月姫(プロフ) - そっかぁ、簪の意味分からないかぁ、、、嫌われている所か....ねっ？ (2020年5月22日 20時) (レス) id: fcb098628f (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉碧(プロフ) - nasiremonさん» ありがとうございます〜！´`* (2020年5月15日 23時) (レス) id: 63148b8798 (このIDを非表示/違反報告)
nasiremon - すごく面白いです！！ 伊作先輩と鉢屋がかっこいい！ (2020年5月15日 0時) (レス) id: fa0cba8ed9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼葉碧 | 作成日時：2020年3月5日 15時
