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兵助｢……Aって小松田さんは平気なのか｣

『えっ？ええ、まあ』

兵助｢……そっか｣

『？』



一体何が聞きたかったのやら。

小松田さんは歳が近いけどギャグ枠なんだよなあ、って昔土井先生にも同じこと聞かれたっけ。



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兵助｢よし、着いたな｣

『……なんだかいつもより賑わってますね』



忍術学園から一番近い町。比較的いつも賑わっているけど今日は特に人が多い気がする。



兵助｢課題の流行りもの(･････)の効果かな。とりあえず行ってみよう｣

『そうですね』



視線で促されるものの気持ちだけ離れて歩き始めた。町の入口から中心部へ向かいつつ周りの声に耳を澄ます。



──あそこの旦那さんが……

──ここの坊ちゃんが……

──先週子供を産んで……



どの時代でも女性は噂話が好きらしい。あちこちで固まってお喋りしていて、井戸端会議とはよく言ったものだと思う。



──あそこのお魚いい感じで……

──野菜はあそこが……

──お味噌汁にはあそこのお豆腐が……



兵助｢とうh……んん、すまない。俺豆腐には目がなくて｣

『あ、豆腐といえばこの前のありがとうございました。とても美味しかったです』

兵助｢！……そう言って貰えて嬉しいよ｣



推しの手料理を食べたなんて未だ信じられないけど、またいつか食べられたらいいなぁ。

さらに進むと今回の目的についての話が聞こえた。



──あそこの行列はなんだい？

──知らないのかい？最近流行っているんだよ

──明の国で人気の甘味らしいぞ



兵助｢流行りものって甘味の事だったのか｣

『……あっちの方に行列が見えます』

兵助｢よし、俺たちも並ぼう｣



明(ﾐﾝ)って確か昔の中国の呼び方だったはず。中国から伝わって室町にはあった甘味……モブ(・・)は世界史よくわからない。

行列へ近づくとざっと二十人ほどの老若男女が並んでいた。列は路地裏の方まで伸びていてその最後尾に並ぶ。……ちょっとだけ兵助と距離を取って。



兵助｢何が売ってると思う？｣

『……なんでしょうね』

兵助｢……A、まだ緊張してる？｣

『……スミマセン』

兵助｢いや、男が苦手って知りながら頼んだのは俺なんだ。……無理させてごめんな｣

『と、とんでもないです……！』


へ、兵助に気を使わせてしまった……切腹した方がいい？モブはデートなんてしたことないし君がかっこよすぎるし色んな意味で緊張してるんだ。許して……

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