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兵助が乱れた息を整え終えた時、遠くから複数人の足音が聞こえ始めた。
勘右衛門「三郎、俺なんか嫌な予感する」
三郎「奇遇だな勘右衛門、私もだ」
「Aちゃん!!」
私の名を呼ぶ伊作を筆頭に保健委員会のメンバーが入ってきたのは、三郎と勘右衛門の顔色が悪くなったのとほぼ同時だった。
『先輩、みんなも……』
伊作「Aちゃ、こんな所に……」
『す、すみません、ご心配をおかけして……』
乱太郎「A先輩〜!なんで庄ちゃん達のところにいるんですかぁ〜!!」
『ご、ごめんね……?』
みんながみんな息を切らして入ってきて、私がいるのを確認すると安心した顔をした。あまりにもみんな動揺しているもんだから無駄に冷静になってしまう。
伊作「とにかく無事でよかった。何かあったのかと思って心配したんだからね」
『すみません、鉢屋先輩に拉致?されまして』
伊作「……は?」
気のせいかな。地を這うような低い声が聞こえた気がする。……空耳かな!伊作がそんな低い声出せるわけ──
伊作「鉢屋、どういうこと?」
『ヒュッ……』
空耳じゃなかった。おまかにその声を向けられた当事者じゃない私がビビって喉を鳴らしてしまった。
普段めちゃくちゃ温厚で怒ったことあるの?ってくらい優しいイメージの伊作が……六年生の誰よりもおっかない顔してんだよ?平太ならきっとちびってる。
三郎「あー……えっと、」
伊作「拉致って何、うちの子に何してくれてんの」
三郎「すみません」
やっ……べ、くそ気まずい。
伊作ガチおこだよ。"うちの子"なんて呼ばれてキャッキャしてるばやいじゃない。
あんなタジタジな三郎初めて見たし、加担してしまった勘右衛門は今すぐ逃げたそうな顔をしている。彦四郎はオロオロと、庄左ヱ門は三郎たちをジッと見つめている。保健委員会の子たちは伊作が怒るのも当たり前だ、という表情で三郎を睨みあげていた。
伊作「君の事だから情報収集なんてお手の物だろう。学園中に噂が広まる前からAちゃんが男が苦手ってこと知っていたはずだよね、それを踏まえて拉致ってどういうこと?配慮って知ってる?」
三郎「勿論です……」
情報収集も何も一番最初に本人の目の前で私自身が言ったからね、苦手って。
そういやその事を伊作は知らないんだっけか。話したのは兵助ぐらい……あぁでも実習の事を話してるんだからそれも勘右衛門に話してそうだな。
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黒糖さまでーす - かすてらさん、わかります自分もニヤけてます。 (2023年3月5日 23時) (レス) @page50 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
かすてら - 忍たま…子ども向けアニメなのにニヤけちゃう… (2020年9月5日 12時) (レス) id: fce6735151 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉碧(プロフ) - 一般人Nさん» へへ、ありがとうございます。告白されたの初めてなので嬉しいです*˙˙* 雑渡さん出ます!話の順番的にもう少し後なんですがめちゃくちゃ出てくるお話があるのでそこまでお待ちいただければと思います……!> < (2020年2月24日 21時) (レス) id: 63148b8798 (このIDを非表示/違反報告)
一般人N - 初コメ失礼します!大好きです付き合ってください!(( 個人的に雑渡さんが好きだから雑渡さん出してくれると嬉しいなぁ…なんて思ってます!できればで良いので、無視してもらっても構いません!更新楽しみにしてます、頑張ってください!! (2020年2月24日 16時) (レス) id: 3767b6257a (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉碧(プロフ) - リリイさん» コメントありがとうございます!本編ではファンタジー要素を入れる予定は無いので本編終了後、番外編などで書ければと思います。素敵なアイデアありがとうございます^ω^ (2020年2月24日 8時) (レス) id: 63148b8798 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼葉碧 | 作成日時:2019年12月22日 23時