【鉢屋三郎】双子。 ページ29
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自己紹介で質問される機会は少なからずあると思う。
同じ村の子に、他の村から来た客に、学園に入学した時に、新しく後輩が出来た時に。今までの人生、自己紹介をする機会は多々あったけれど、私が今までで一番された質問は確実に｢じゃあ三郎の本当の顔を知ってるんだ？｣だ。
この学園では一部──主に四、五年の上級生──を除いて殆どの生徒が先輩から名前で呼ばれている。逆を言うと先輩や私を含む上級生は一部──苗字が長いなど──を除いて後輩たちに苗字で呼ばれることが多い。
かくいう私は
｢A、少しいいか｣
｢A先輩！｣
『はーい』
後輩からも先輩からも名前で呼ばれている。理由は単純で、同じ名字の生徒が居るからだ。
｢ではこれを鉢屋……いや、お前も鉢屋だったな。お前の兄へ渡してくれ｣
『分かりました』
私には三郎という兄がいる。兄と言えど双子、然れど兄と妹ではなく対等の人間として育ってきた為に兄妹意識は限りなく薄い。ただ少し先に産まれたか後に産まれたか、ただそれだけだ。
男女の双子は前世で駆け落ちした恋人同士、なんて言い伝えがあって、地域によっては疎まれるらしい。故郷の村長が言っていた。しかし私たちの村にそんなしきたりはなく
、両親に至ってはその言い伝えを｢むしろ素敵だ｣と言う。双子だからといって変なこだわりも無かったらしく、お互いの名前は全く関係性がない。そんな両親に平等の愛情を受け早十四年、私たちは同じ学び舎に通って五年目になる。
さて、本題に戻るが私は三郎の素顔を知っている。そりゃ産まれた時から一緒なのだから当たり前だ。だから聞かれた時は｢うん、知ってるよ｣と正直に答える。
｢A先輩の方が妹なんですね｣
『そうだよ。意外だった？』
｢意外と言うか……双子だと言うのは存じていましたが、鉢屋三郎先輩もA先輩も兄、姉のように感じるので｣
『なるほどね』
ただ、｢どんな顔なの？｣と聞かれた場合は『秘密』と答える。
彼が今や｢千の顔を持つ変装名人｣なんて呼ばれているのは彼の努力が故だ。彼の努力を踏みにじるような事をできるわけが無い。
秘密、そして｢自分で暴いてみて｣と追加するのだ。
(続く)
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よる色 - いつも読んでます！どうしてこうなった鶴の恩返し これ好きです！ 次の更新楽しみです！ (2020年8月29日 13時) (
レス) id: bfdde3bd29 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉碧(プロフ) - ☆夏☆さん» こんばんは コメントありがとうございます。毎回読んでくださるとのこと、嬉しく思います^ ^おしどり夫婦、書いている時には思いつきもしなかったのでとてもお上手だと思いました笑ご期待に添えるよう頑張ります！´▽` (2019年10月20日 0時) (レス) id: 63148b8798 (このIDを非表示/違反報告)
☆夏☆(プロフ) - 毎度、更新なさる度にとても楽しく読ませて頂いています。鶴の恩返しを拝見して、「おしどり夫婦……鶴なのに！」と上手くないことを考えて一人で笑ってしまいました。更新頑張って下さい！長文失礼しました。 (2019年10月19日 21時) (レス) id: 4aad21ce78 (このIDを非表示/違反報告)
紫癸(プロフ) - 蒼葉碧さん» バッチリキャラ掴めてると思います!!六年生大好きなのでとても楽しませて貰いました!ありがとうございます!楽しみにしてます!!! (2019年10月1日 9時) (レス) id: 01ec9b707a (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉碧(プロフ) - 紫癸さん» ありがとうございます〜！６い、6ろあたりを苦手としているのであまりキャラは掴めていない気もしますがそう言っていただけて嬉しいです！短編の続編は今まで考えたこと無かったけど楽しそうですね……！思いつき次第更新しようと思います……！( ´ω｀*) (2019年10月1日 2時) (レス) id: 63148b8798 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼葉碧 | 作成日時：2019年9月3日 7時
