【忍たま短編２】

【潮江文次郎】それならいっそ ページ12

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『あーあ、誰とでもいいから結婚したい』


｢はあ？｣


『私も幸せになりたい』









隣に座る男は何言ってんだこの女という顔で見てくる。









｢……結婚したからと言って必ずしも幸せになれるわけじゃないだろう。結婚をどう思ってるか知らんが結婚以外にも幸せの形はある｣


｢やけに説得力があるな｣









しかも言っていることは正論だから尚更いけ好かない。








『さすが老け顔なことはある』


｢老け顔は余計だ バカタレ｣









20代も半ば、友人たちが次々とゴールインしていて内心焦っていた。

私には結婚の予定どころかそんな相手もいない。長い付き合いであるこの老け顔となんとなくくっちゃべっているだけ。果たしてそれでいいのだろうか。









｢そもそも誰とでもいいからってお前失礼だろ。相手にも選ぶ権利はあるぞ｣


『失礼なのはどっちだ？あん？』









ペシッと頭を叩いてやれば｢かゆい｣と言って掻きだした。









｢……具体的に結婚してどういう幸せを得たいんだ｣


『う〜ん』








目を閉じて理想の結婚生活というものを思い浮かべてみる。









『まず毎日かっこいい人と結婚するでしょ、』









顔にモヤがかかった男性がポンっと出てくる。









｢既に曖昧すぎる｣


『同じベッドで寝て、毎朝起きたらおはようって言い合って』









その男性はよく見る体格で、隣に寝そべっている。









『朝ごはんは一緒に食べて、ちゃんと行ってらっしゃいってお見送りして』









朝ご飯を食べて、玄関で行ってらっしゃいのチューなんてしてる。我が妄想ながらなんだか小っ恥ずかしい。

なんとなく彼の顔のモヤが薄れてくる






『帰ってきたらもちろん玄関までお迎えにいって、おかえりなさいってハグをして』


｢案外乙女チックな頭してんだな｣


『うっさい』








私は彼に抱きついてそれこそ幸せそうに笑っている。

さらに薄れて、もう少し









『寝る時はちゃんとおやすみって一緒のベットで、っていう当たり前、の……』









ついにモヤが晴れた








｢当たり前ねえ｣


『文次郎』


｢あ？｣


『私と結婚しない？』


｢…………は？｣

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誰でもいいから結婚したいと口に出してみたが、相手以外の人と一緒に暮らす自分が想像できない忍たま夢
#恋ともつかない
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