【A3!】二番目気質

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少し、昔の話でもしようか








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昔から私は顔はかわいくて人前でも堂々としていて、頭の回転も早く幼いながらに空気を読みながら生活していた



滅多に迷惑をかけない子だった








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モデル顔負けのかわいさだった私は当たり前のようにモテていて、幼稚園くらいの子によくある、“将来は〇〇ちゃんと結婚するー！”というセリフもよく言われていた


私は、嫌がったり断ったりしたら傷つく、と考えて、どの子にも“もちろん”という返事を返していた





所謂、八方美人だったのかもしれない









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だが、私にプロポーズしてきた男の子達のほとんどが、最終的にはお姉ちゃんに憧れの目を向けていた。







まだ小さかった男の子達には、美人で明るくてちょっとドジだけどかわいらしい、年上のお姉さんはとても魅力的にうつったんだと思う









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普通の幼稚園生の女の子だったら、そんな光景をみたら悲しんだり、怒ったりするのかもしれない









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けど、私はなんとなくわかっていたんだ









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自分は“一番”になれないんだって




自分は“二番目”なんだって









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お母さんもお姉ちゃんのほうを大事にしていたし、愛していた









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今思えば、まだ幼いのに冷静で、どんな嫌がらせを繰り返しても淡々としていた私が、お母さんは気に入らなかったのかもしれない









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私のぶんのおやつを全部お姉ちゃんに与えられた時、私は黙って自分の部屋に戻った



気に入ってた本にちょっとした落書きをされた時、私は何も言わずにほかの本を読んだ




私のぶんのご飯だけあえて出してもらえなかった時、私は黙って自分のぶんのご飯やおかずを用意して黙々と食べはじめた









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自分は愛してもらえない、幼いながらにそれをわかっていた私は、どんな嫌がらせをされても絶対に悲しんだり怒ったりしなかった









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でも、外での私は男女問わずモテモテだった






小学生の頃からしょっちゅう告白されていたし、いつでも周りに友達がいた








家の中では寂しい私だったけど、それがあったから耐えることができていたのかもしれない









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けれど、その幸せも長くは続かなかった

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