【降谷零】私、その顔には弱いんです。【安室透】 (ページ26)

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……………なーんてね。
私と降谷さんがそんな事あるわけないか。
上司と部下の関係で、ましてやお互い潜入捜査官と言えども組織の人間なんだから。
まあこれに関しては降谷さんも知らないんだけどね。

「俺はこれから本庁に戻るから送ってやれないが…気を付けて帰れよ。」

『はい、お気遣い有難うございます』

明日ちゃんとそのドレス来てこいよ、と言い残して降谷さんは去っていった。

家に帰ってお風呂から上がると、タイミングを狙ったかの様に携帯が鳴った。

『ジン……』

流石にこの電話を無視する事は出来ない。
この男に目をつけられたらとんでもない事になる。
いつも冷たい目をしている冷徹男。
NOCだとバレたら即殺されてしまう。
ジンを抑えればボスに辿り着けると踏んでいるので、疑われたら終わりだ。

なんせ、洞察力がずば抜けているからな。
慎重に慎重を重ねなければならないと、緊張感が増す。

『Hi,Gin.
Long time no see....
How have you been？
(やぁ、ジン。久しぶりね。元気してた？)』

「…おい、グレーン。ここは日本だぞ」

何て冷たい声。
久々ながらもゾクゾクする。

『……ふふ、そうだったわね。で、用件は？』

「お前に会わせたい奴がいる」

『会わせたい奴？誰かしら？』

「………バーボン。耳にしていないか？」

『ああ、そう言えば少し耳にしたような気がするわね。
私と同じ情報収集をしているんだって？』

勿論バーボンの事は私が1番知っているが、これ以上の事を話すと、問い詰められてどうなる事やら。
色々な情報を握っているからね、私は。

「…そうだ。
そこで、同じ探り屋同士、近々直接2人で会ってコンビを組め。」

ちょっと待ってよ。
会ってコンビを組む？冗談じゃないわ。

組織の人間と関わる際には多少変装はしている。
公安の仕事をしている本来の姿を見られたら、それこそ本当に終わりだから。
何度も練習を重ねた変装術を持ち合わせているから大丈夫だと信じたいけど。

これでもしバレたら本当にどうするんだ。
けれどジンに不審に思われる方がよっぽど怖い。
そう判断した私はOKを出して電話を切り、何も考えない様にと、すぐに眠りについた。