12月の某日 ページ35
ガタンと車が揺れた衝撃で、こっちにもたれ掛かっているやぶくんの頭がずり落ちそうになる
眠って脱力した身体はゆらゆら揺れて不安定なので肩に腕を回して抱き寄せると
「んー」
やぶくんは目を閉じたまま眉を寄せて唸った
「大丈夫?」
こっちの様子を窺うような控え目なたかきさんの声
「大丈夫です」
運転席の方を見るとバックミラー越しに目が合った
終電もとっくの昔になくなった深夜だからか、走っている車はほどんど無く、スイスイ進んでゆく
隣のやぶくんは安心しきったようにスヤスヤ
「爆睡だね」
たかきさんが赤信号で止まったときに振り返ってこっちを見てきたが、その表情は完全に苦笑い
「すみません。通り道でも無いのに送ってもらって」
「いいって、遠慮しないで。運転するの好きだからさ」
「いや、でも」
「今日はやぶくんだけだけど、この前なんていのおくんもありおかくん達も送っていったんだよ。全員家バラバラなのにさ、それに比べたら全然マシだよ」
あの時は参ったねー、と笑うたかきさんは大人の余裕をまとっていて
やっぱりかっこいい人だなと改めて思った
しばらくして青信号に変わって車がまた走り出す
ついさっきまでクリスマスパーティーというより、忘年会に近い集まりがひかるさんちで催されていた
ちなみにひかるさんの家は噂通り広かった
初めは普通に鍋パーティーやっていたはずなのにいつの間にか大人たちが飲んだくれて、最後には皆ある意味大人しくなっていた
ひかるさん達3人を嫌そうな顔してるちねんさんに任せて、あの状況で一滴もお酒を飲まなかったたかきさんに俺とやぶくんは送ってもらうことにした
「いつもこんな感じなんですか?」
どれだけ飲んだのか知らないけど、ここまで酔っぱらったやぶくんは初めて見た
「そうだねー、こんな感じ。俺が飲んでる日は皆でひかるくんの家に泊まることになるけど、起きたら大抵、地獄絵図だよね」
みんな加減を知らないからーとあきれ気味なたかきさん
「あー、想像できます」
さっき後にしたばかりのひかるさんの家の有り様を思い出す
ちねんさん、色々押し付けてごめんなさい
87人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し84745号(プロフ) - 凛花さん» コメントありがとうございます。感想が聞けてすごく嬉しいです! (2019年4月13日 12時) (レス) id: 8ba8fca067 (このIDを非表示/違反報告)
凛花(プロフ) - コメント失礼します!凄く素敵でした!ゆとやぶ大好きなので書いてくださり本当に有り難いです…! (2019年4月12日 21時) (レス) id: d67589c485 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:名無し84745号 | 作成日時:2019年2月3日 23時