4 ページ22
「2、3人くらいだったと思う」
「意外と少ないな」
パッと思い出せた人数を言ったら
そんなもんかー、と呟きながら俺の膝の上で体勢を仰向けから横向けに変えた
しかもこっちとは反対側に向いちゃったおかげで顔が見えづらい
見えてる頬っぺたをつんつんすると、ちらりと一瞬だけ視線を向けた
「その告白してきた子と付き合うっていう選択肢は無かったの?」
「は? それってどういう意味?」
またもや唐突な質問
だけど、今回はその質問の意図が全くもって理解できない
何で告白してきた人と付き合わないの? と大切な恋人に言われる俺の気持ちの持ちようを誰か教えてほしい
「やっぱりゆうとには同年代の人と付き合ってほしい。俺といるよりもその方がゆうとは幸せになれると思う」
依然として手は繋がれたままだけど俺の方を見ることなく喋るやぶくん
付き合いはじめの頃はよく言われてたけど、そんなことまだ思ってたんだ
俺のやぶくんへの気持ちは勘違いなんかじゃなく、一過性のものなんかでもないって分かってもらえてると思っていた
だってそろそろ付き合って一年経つんだよ
本気でやぶくんのことが好きに決まってる
今まで頑張って伝えてきたつもりだったけど、届いてなかったんだね
「ねぇ、こっち向いて」
ちゃんと気持ちが伝わってないのなら何度だって伝えればいい
好きだ、って
聞き飽きたって思われるくらい言えばいい
好きな人と一緒にいれることが一番の幸せなんじゃないの?
ちゃんと目を見て言った方が伝わるだろうと思ったのにやぶくんは中々こっちを見てくれない
それどころか向こうを向いたまま、目を閉じてしまった
そんなに俺と目を合わせたくない?
自分から膝の上に頭乗せて、手を繋いできたくせに
本当にあんなこと思ってる?
他の人と付き合ってほしいなんて本当に思ってる?
「こっち向いてよ。本気でそんなこと思ってるの? だったらちゃんと俺の目見てさっきのセリフもう一回言える?」
そう言ったら、ぎゅうっと手を強く握りしめられた
目を閉じたまま眉間に皺を寄せて、葛藤しているみたい
言えないんだったらあの言葉がやぶくんの本心だって認めないから
やぶくんがあの言葉は本心じゃないよと否定してくれるのを期待しながら沈黙の中待つ
するり、と固く握りしめられていた手が放された
代わりに心臓を握られたみたいに胸が苦しくなる
膝の上からも重みが消えた
87人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し84745号(プロフ) - 凛花さん» コメントありがとうございます。感想が聞けてすごく嬉しいです! (2019年4月13日 12時) (レス) id: 8ba8fca067 (このIDを非表示/違反報告)
凛花(プロフ) - コメント失礼します!凄く素敵でした!ゆとやぶ大好きなので書いてくださり本当に有り難いです…! (2019年4月12日 21時) (レス) id: d67589c485 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:名無し84745号 | 作成日時:2019年2月3日 23時